一人称小説の書き方!4つのタブーと心の声や視点変更のコツ

一人称小説の書き方!4つのタブーと心の声や視点変更のコツ

一人称視点の小説は、主人公の目線を通して物語が進むので読者を感情移入させやすい特徴があります。

しかし文体や口調、自分の呼び方など書き方を少し間違えると不自然に感じてしまうことも…。

この記事では一人称小説を書くコツや、やってはいけいないタブーやルールをわかりやすく解説します。

例文とともに解説しているので、参考になれば幸いです。

この記事の内容
  • 一人称小説の特徴や書き方のコツ
  • 口調や文体は語り手によって変わる
  • 自己紹介は自然な流れでわかるようにする
  • タブーやルール
目次

一人称小説の書き方!心の声や自分の呼び方

一人称視点とは

一人称で書く小説って、主人公の視点から物語が進むのでまるで主人公になった気分で読めるのが楽しいですよね。

しかし一人称ならではのコツや注意点を知らないと不自然な描写になってしまいます。

まずは一人称小説の特徴や書き方のコツをわかりやすく解説します。

  • 一人称の特徴
  • 口調や文体は語り手による
  • 心の声は地の文にそのまま書く
  • 自己紹介は自然な流れで

一人称の特徴

一人称視点とは、主人公の目線を通して物語を描くスタイルのことをいいます。

外側から客観的に描くのではなく、登場人物の主観で出来事を伝える書き方なので、主人公の感情や考えがダイレクトに読者に伝わりやすくなります。

一人称視点の例文

私は窓際に座り古い日記を開いた。黄ばんだページからは懐かしい香りが漂ってくる。十年前のあの日、私は人生を大きく変える決断をした。

三人称だとセリフ以外は全て書き手の視点になりますが、一人称なら地の文も主人公が見ているものとして描くことになります。

  • 見えている景色
  • キャラクターの容姿
  • 体験していること
  • 心の声や感情

どれもキャラクターのものなんです。

主人公の知識や認識にもとづいて物語が展開していくので、ミスリードを誘ったりすることも可能です。

たとえば「あの女性は絶世の美女だった」と描写しても、これは主人公にそう見えているだけ。実際には美女ではない可能性もあるのです。

この特徴を上手に活かせば、読者を物語にぐっと引き込むことができますよ。

口調や文体は語り手による

一人称視点の小説は、語り手の設定によって地の文の口調や文体が大きく変わります。

語り手と聞くと難しく感じるかもしれませんが、簡単に言えば「主人公がどういうキャラなのか」ということです。

たとえば、落ち着いた大人っぽい語り手の視点なのか、元気いっぱいの子どもっぽい語り手なのかで、同じ話でも全然雰囲気が変わるんです。

例:先生に怒られたシーン

落ち着いたキャラ

僕は職員室で頭を下げたまま、先生の言葉に耳を傾けていた。

元気なキャラ

俺は職員室で、先生に思いっきり怒られてしまった。

性格が違えば同じ出来事でも捉え方がちがいますよね。

また、語り手が思い出を振り返りながら話しているのか、今まさに起きていることを話しているのかでも物語の伝わり方が違います。

さらに一人称なら、関西弁や津軽弁など方言を地の文で使っても違和感がありません。

語り手の個性をしっかり決めておくことで、読者がその世界に入り込みやすくなりますよ。

心の声は地の文にそのまま書く

小説で視点人物の「心の声」を、ラノベではよくカッコでくくって表現することがよくあります。

しかし一人称小説の場合は、すべてが登場人物の視点や感情なのでカッコでくくる必要はありません。

心の声は、主人公が思ったことや感じた内面をそのまま表現するものです。

状況描写と心の声は地の文にそのまま混ぜて書いても不自然にはなりません。

心の声の例文

私は混み合う電車の中で静かに息を吐いた。ああつらい…早くこの窮屈な空間から抜け出したい。スマートフォンの画面に映る時計をもう一度確認した。

自己紹介は自然な流れで

一人称小説では、主人公の視点で物語が進んでいくので、形式的な自己紹介をしてしまうと違和感が出てしまいます。

俺はタカシ、どこにでもいる普通の高校生だ。

このような直接的な自己紹介をされると小説としてかなり幼稚に感じてしまいますよね。

そのため物語の自然な流れの中で主人公の名前や性格、関係性がわかる方が効果的です。

たとえば、学校の友達との会話や行動を描写する中で「タカシ」という名前や高校生らしい言動を自然に示す方法があります。

「おいタカシ。遅れるぞ!」

友人から呼びかけられる場面を描けば、読者は主人公の名前と関係性を理解できます。

また、主人公の性格や背景は地の文に溶け込ませるとより自然になります。

目覚まし時計を止めて急いで制服に袖を通した。今日も遅刻だ。これじゃ親にも文句を言われる。

高校生らしい日常や家族との関係性を伝えられます。

自己紹介は、読者に「物語の中に自然と入っていける」感覚を与えることが大切です。キャラクターの魅力を徐々に明かしていくことで、読者の興味を引きつけましょう。

一人称小説の書き方!タブーや守るべきルール

一人称視点の小説のタブーやルール

一人称小説は、感情移入しやすいといがある一方でいくつかのタブーがあります。

主人公の目を通した物語なので、やってはいけいないルールを守らないと矛盾が生まれてしまいます。

ここでは、一人称小説で気をつけたいルールをわかりやすく解説します。

  • 主人公がいない場面は描かない
  • 主人公以外の心の中を描かない
  • 説明は主人公の語彙力や知識量で
  • 同じシーンで視点変更しない

主人公がいない場面は描かない

一人称小説は、主人公の目線で見たものしか描けません。そのため主人公がその場にいないことを描写するのはタブーです。

例えば主人公が教室にいるとき、職員室で行われている教師たちの会話を描写することはできません。

よくある「一方その頃、職員室では」のようにカットを切り替えて書くことができないのです。

同じように主人公が自分の部屋にいるときに、家族がリビングで話している内容も描くことができません。

その場にいない状況を読者に知らせる方法としては、後から誰かに教えてもらうとう書き方があります。

例文

  • 後で母から聞いた話ではあの夜、父は台所で一人考え込んでいたそうだ。
  • 佐藤先生によると、教師たちは職員室で私のことを話し合っていたらしい。

一人称視点では、主人公と読者は同じタイミングで出来事や情報を知ることになります。

主人公以外の心の中を描かない

一人称小説は主人公の目線だけで物語が進むので、他のキャラクターの心の中を直接描けません。

語り手が知ることのできない他人の感情や心理を直接描写すると、まるでエスパーのような超能力者になってしまいます。

一人称で「私はガッカリした」は書けても、「彼女はガッカリした」と書くことはできません。

現実と同じで他人の心を断言することはできませんよね。ただ、主人公が彼女の様子を見て感じたことなら書けます。

彼女はガッカリしたような表情を見せた。

あくまでも推測として描けば一人称でも他人の心情を描くことが可能です。

ただし、本当に彼女がガッカリしているのか主人公にそう見えただけなのか真実はわかりません。

このように一人称視点では他人の心理を知ることはできず、語り手目線の推測や感情に頼ることになります。

説明は主人公の語彙力や知識量に合わせる

一人称小説では、主人公が知らないことを無理に説明しようとすると不自然になってしまいます。

語り手の語彙力や知識量は、主人公とイコールにならないといけません。

たとえば「この部屋は18世紀のフランス風のデザインだ」と主人公が語る場合、その知識を持っている背景がないと読者に違和感を与えてしまいます。

三雲ハル

普通のサラリーマンや高校生にデザインの知識はありませんよね。

こういうときは主人公の知っている範囲で説明するのがおすすめです。

古びた家具と豪華な装飾が、昔の映画で見たヨーロッパの部屋を思わせた。

必要な情報は、ほかのキャラクターに説明させるなど工夫してみましょう。

また、語彙力も主人公の属性にあったものにしないと描写が不自然になります。

中学生の語彙力

空が赤く染まる公園で私はブランコに座っていた。

冷たい風が吹いて制服の上着を引っ張った。カラスが鳴きながら飛んでいって、なんだか寂しくなった。

大人の語彙力

茜色に染まる公園で古びたブランコに腰を下ろしていた。

肌寒い秋風が吹き抜けるなか、頭上を横切るカラスの鳴き声が心に染みわたり何とも言えない郷愁を誘った。

主人公がどんな言葉遣いをするのか語彙力や知識量を事前に決めておくといいかもしれません。

同じシーンで視点変更しない

一人称小説で最も避けるべき失敗の一つが、シーン内で視点を変えることです。

語り手の目線にカメラがついているように描写していくので、視点が変更されてしまうと「いったい誰の目線なの?」と読者は混乱してしまいます。

視点変更が必要な場合は、章を分けたり明確な区切りをつけるようにしましょう。視点の一貫性を保つことで物語の流れがスムーズになります。

一人称小説の書き方:まとめ

一人称小説の書き方ややってはいけいないタブーを解説しました。

一人称で書くコツ
  • 主人公の目線を通した描写
  • 口調や文体は語り手しだい
  • 心の声は地の文にそのまま書く
  • 直接的な自己紹介はしない
一人称視点のルール
  • 主人公がいない場面は描かない
  • 他人の心の中はわからない
  • 説明は語り手の語彙力や知識量に合わせて
  • 視点変更するときは章を分ける

一人称小説で成功するポイントは、読者が「自分が主人公になったみたい!」と感じられることです。

そのためには主人公の感情や考えをリアルに描くのが大事です。見たものや感じたことを詳しく描写することで、物語の中にいるような感覚を作れますよ。

一人称の力を最大限に活かして、読者が夢中になる作品を書いてみましょう!

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この記事を書いた人

「物書きラボ」は、小説の書き方を初心者にもわかりやすく解説するサイトです。既存のノウハウだけではなく私が実践し試行錯誤を重ねた情報をお届けしています。

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