バディもの小説は、二人のキャラクターが対立を経て支え合いながら成長する物語です。
しかし「物語の流れはどう作ればいい?」「どんなバディの関係にすればいいの?」と迷ってしまうこともありますよね。
今回は以下の内容を解説していきます。
- 前半:バディもの小説のストーリー展開を具体例で解説
- 後半:相棒の組み合わせテンプレート7選
これを読めば、あなたの小説に最高のバディを登場させることができますよ。
バディもの(相棒)小説の書き方!ストーリーのテンプレ展開
バディものとは、二人のキャラクターが相棒として協力しながら問題を解決していく作品のことを指します。
有名な作品でいえばテレビ朝日のドラマ『相棒』。主人公の刑事・杉下右京とその相棒が事件を解決していくストーリーです。
刑事もの以外にもスポーツやファンタジーなど様々なジャンルで使われる人気の構造です。

バディもの小説の面白さは、対照的な相棒との関係がどう変化していくかという点にあります。
「仲良しな相棒」ではなく、最初は反発しながらもお互いを認め合い最高のバディになっていく流れがあると、読者の心をつかむ物語になります。
まずは、多くのバディものに共通するテンプレ的な展開があるので押さえておきましょう。
- 対照的な二人が出会い相棒になる
- 価値観の違いで対立する
- お互いを認め合うクライマックス
- 最高のバディになるエンディング
- ストーリーの具体例
対照的な二人が出会い相棒になる
バディもの小説はまず「二人の出会い」から始まります。
出会いのパターンはさまざまですが、特に次のようなシチュエーションがよく使われます。
- 仕事のパートナーとして組まされる(刑事・探偵もの)
- 偶然の出会いで協力せざるを得ない状況に(ファンタジー・冒険もの)
- ライバル関係から始まる(スポーツ・バトルもの)
出会いの段階では、まだ相棒としての信頼関係ができていないことが多いです。
なぜなら性格や価値観が対照的だから。
むしろ「こいつとは絶対に合わない」と反発するくらいの方が後の成長が際立ちます。
たとえば「ベテラン刑事と新人のコンビ」なら、最初は新人がベテランに「勝手なことをするな!」と怒られるけれど、だんだん息が合ってくるという流れですね。
最初は反発し合っていたのに、次第にお互いを認めていくという展開は、王道でありながら何度見ても熱くなりますよね。
価値観の違いで対立する
バディもの小説の面白さは「二人が意見の違いで衝突する」ことにあります。
いくら相棒とはいえ、最初から完璧に息が合うわけではありません。
特に性格や信念が正反対のバディなら、ぶつかるシーンをしっかり描くことで緊張感が生まれます。それから徐々に信頼関係を作っていく過程が感動を生みます。
よくある対立のパターンはこんな感じです。
- 理論派と直感派で考え方が合わない
- 俺は単独行動派、お前はチームワーク派
- 天才型と努力型
こうした衝突を経て「このままではダメだ!」という試練の場面が訪れます。
たとえば、バトルものなら「相棒を助けるために自分を犠牲にする」ような展開。
ここで二人が何を選択するのかが、物語の山場になります。
お互いを認め合うクライマックス
クライマックスでは相棒との関係が大きく変わる瞬間を作ることが重要です。
試練を乗り越えたことでようやくお互いを認め合い、本物の相棒になるのです。
このとき、読者が「この二人、最高のバディだ!」と思えるような「決定的なシーン」を入れると、より印象に残る物語になります。
たとえばこんな展開が考えられます。
- これまで信じてこなかった相棒を初めて心から信頼する
- 相棒の口癖をもう一人が無意識に言ってしまう(影響を受けた証)
- 決戦前に二人だけの合言葉を交わす
ここで重要なのは、対立していた価値観が一つに収束するわけではなく、それぞれの価値観を尊重したまま認め合うこと。
相棒の欠けている部分をバディとして補う関係性に気づくのです。
クライマックスの書き方は以下の記事で解説しています。
最高のバディになるエンディング
最後は二人が「最高のバディになった」と感じられるエンディングを用意しましょう。
ここで大事なのは「問題が解決しました」だけで終わらせるのではなく、二人の関係性がどう変わったのかを描くことです。
たとえば、刑事バディものなら「最初は新人だったキャラが、今では頼れる相棒になった」という成長を見せると読後感が良くなります。
また、ラストシーンで二人が何気ないやりとりを交わすだけでも「こいつら、最高の相棒になったな」と思わせることができます。
A:「なあ、昼飯どうする?」
B:「またお前の好きなハンバーガーか?」
A:「あたりまえだろ」
こんな何気ない会話で終わるエンディングもバディものらしくて素敵ですよね。
バディもののストーリーを作るときは「二人の関係の変化」を意識すると、より深みのある物語になります。
ストーリーの具体例
ここまでの内容を「理論派と直感派の刑事バディもの」をテーマに具体例を書いてみます。
- 理論派:データや証拠に基づいて行動する冷静な判断力
- 直感派:現場の雰囲気や被害者の表情から真相を嗅ぎ取る
- 起:「感情に流されるな」「データだけでは見えない真実がある」と対立
- 承:それぞれの長所が事件解決に貢献し始める
- 転:決定的な場面で互いの捜査手法を組み合わせることで事件を解決
- 結:お互いを認め合い真の相棒になる
事件解決という目的は一緒でも、異なるアプローチを取るため最初はお互いのやり方に苛立ちを感じます。
物語の中盤、ある難解な事件を捜査する中で二人の意見が激しく対立します。
理論派の刑事Aは証拠に基づいた慎重な操作を主張し、直感派の刑事Bは大胆な突入を提案します。
この時点ではお互いに譲らず、協力するどころかますます対立が深まっていきます。
物語がクライマックスに近づくと、一転して二人が認め合う瞬間が訪れます。
ここでポイントになるのは、事件の核心に迫る場面で両者の強みが絶妙に組み合わさること。
刑事Aが見落とした細かい証拠を、刑事Bの直感が追い風となって新たな展開を生む。
逆に刑事Bの大胆な直感的アプローチが行き詰ったとき、刑事Aの分析が突破口を提供する。
この瞬間、二人は自分に欠けていた部分を相手が補完してくれることを理解し、真の相棒となり事件を解決します。
「君の勘は侮れないな」
「データの裏付けがあって、直感も活きるんだ」
この瞬間こそが、バディもの小説のクライマックスであり読者に爽快感と感動を与えるシーンです。
このように、対照的な個性が補完し合う瞬間こそがバディものの醍醐味といえるでしょう。
これらの作品に共通しているのは「二人の関係性がドラマを生む」という点です。
性格や能力が異なる二人が補い合いながら進んでいくことで、読者も自然と物語に引き込まれるんですね。
バディもの(相棒)小説の組み合わせテンプレート
ここまでバディもの小説のストーリー展開について解説しました。
しかし「どんな関係性の相棒を作ればいいのか分からない」と悩む方も多いでしょう。
実は相棒の組み合わせにはいくつかの定番パターンがあり、それをうまく活用することで読者を惹きつける物語が作れます。
ここからはバディの組み合わせテンプレートを紹介します。
- 正反対の二人
- 師弟や上下関係
- ライバル同士
- プロと素人
- 異なる専門知識を持つ者
- 異なる種族や存在
- 年齢差のあるコンビ
それでは、それぞれの特徴や魅力を詳しく見ていきましょう!
正反対の二人
バディものといえばまず思い浮かぶのが「正反対の二人が相棒になる」王道パターンですね。
このタイプのバディは性格や能力がまったく違うことで、お互いにないものを補い合えるのが特徴です。
- クールで理知的・熱血で直感的
- 頭脳派・肉体派
- ルールを守るタイプ・型破りな自由人
こうした関係性を作ることで「お互いを理解できないからこそ成長していく」というドラマが生まれます。
最初はぶつかり合うけれど物語が進むにつれて相手を認めていく過程が魅力ですね。
師弟や上下関係
師匠と弟子、上司と部下、ベテランと新人など明確な上下関係があるバディも人気のパターンです。
このパターンは「一方が未熟で、もう一方が導く存在」という構図になるのが特徴ですね。
- ベテラン刑事・新米刑事
- 剣豪・若き弟子
- 大企業のカリスマ社長・新入社員
このパターンの面白さは「弟子が成長して、やがて師匠と対等になる」という関係の変化にあります。
最初は未熟だったキャラが、経験を積んで成長していく過程が読者の共感を呼びます。
師匠側のキャラも「最初は冷たかったのに徐々に弟子を認めていく」という展開があると、関係性のドラマが深まりますよ。
ライバル同士
ライバルとして対立する関係ながらも、いざというときは互いを助け合う、そんな関係に胸が熱くなりませんか?
ライバル同士が相棒になるパターンも、バディもの小説の人気設定の一つです。
- 同じ目標を持つライバル(スポーツ漫画)
- 対立しながらも共闘する関係
- 敵対していたが、共通の敵が現れて手を組む
スポーツ漫画でよくある相棒ものです。努力型の主人公と天才型のライバルという設定はありがちですよね。
このパターンのポイントは「仲が悪いからこそ、絆が強く感じられる」という点です。
最初は衝突ばかりだった二人が、共通の敵と戦う中でお互いを認め合う展開は王道ながらも燃えますよね。
二人が成長しながら競い合うことで読者も「次はどっちが勝つのか?」とワクワクしながら読めるのも魅力です。
プロと素人
職業のプロと素人がとあるきっかけを経て、バディになり事件を解決するパターン。
この組み合わせは「知識や経験の差」を利用して、物語にドラマを生むことができます。
片方はその道のエキスパート、もう片方はまったくの素人という構図ですね。
- 刑事・謎解き好きの主婦
- 探偵・依頼人の女子高生
- 凄腕スパイ・平凡な会社員
この関係性の面白さは、素人がプロの世界に引きずり込まれ成長していくところにあります。
また、素人側がプロの常識を覆し新しい視点で事件を解決する展開も王道ですね。
異なる専門知識を持つ者
異なる分野のプロ同士が相棒になるパターン。
お互いに違う強みを持っており、協力することで一人では解決できない問題に挑む展開が作れます。
- 医者・探偵(医学知識と推理力)
- ハッカー・元軍人(情報戦と物理戦)
- 建築家・幽霊研究家(いわく付きの物件の謎)
それぞれの能力や専門知識を活かせる事件や問題を作れると面白いバディもの小説になりますよ。
異なる種族や存在
異なる種族や存在同士のバディは、文化の違いや価値観のズレを活かした面白さがあります。
よくあるパターンとしては、次のようなものがあります。
- 人間・ロボット
- 地球人・宇宙人
- 人間・動物
- 現代人・江戸時代の侍
この組み合わせの特徴は「お互いにないものを持っている」こと。
ロボットは合理的だが感情を理解できない、人間は感情的すぎて非効率…いったズレが、物語を面白くします。
大人と子供
「人生経験豊富な大人」と「無鉄砲な子供」の組み合わせはバディものの定番です。
年齢差があることで次のようなドラマが生まれます。
- 無鉄砲な若者を大人が守る
- 若者の純粋な行動が大人の考えを変える
- お互いの視点の違いをぶつけ合いながら成長する
大人が子供を守るだけではなく、子供の純粋さが大人の不足している部分を補い、最終的には親子のような関係になっていく展開が王道ですね。
バディもの(相棒)小説の書き方:まとめ
バディもの小説の書き方と、ありがちな相棒の組み合わせテンプレートを解説しました。
- バディものは「二人の関係性の変化」が重要
- 対立する関係から始まり認め合い、真の相棒になる
- 相棒の組み合わせは定番のテンプレートを使う書きやすい
バディものを面白くするためには相棒キャラの個性を際立たせることが大切です。
「正反対の二人」「師弟関係」「ライバル同士」などの定番パターンを活用すれば、関係性にメリハリをつけられます。
ぜひ、今回解説したポイントを活かして、読者が夢中になるバディもの小説を書いてみてください。