小説のセリフの書き方7つのルール!会話文でキャラを書き分けるコツ

小説のセリフの書き方7つのルール!会話文でキャラを書き分けるコツ

小説のセリフは、キャラクターの個性を際立たせて物語を生き生きと進めるための重要な要素です。

この記事では、小説のセリフを書くための基本ルールから、複数人の会話を書き分けるコツ、そして説明ゼリフを避ける工夫まで詳しく解説します。

この記事の内容
  • 小説の会話文7つの基本ルール
  • セリフを上手に書くの7つのポイント

これを読めばキャラクターのセリフが魅力的に描けるようになりますよ。

目次

小説のセリフの書き方!会話文7つのルール

まずは小説のセリフを書くために知っておきたい会話文の基本ルールを7つ解説します。

前提として、小説は作者が自由に表現する作品なので、絶対に守らなければいけないルールは存在しません。

しかし、基本ルールを守らないと読みにくくなったり不自然になってしまう可能性があります。

公募の文学新人賞に応募する作品はルールを守ったほうが無難です。

以下の内容を解説していきます。

  • カギカッコで囲む
  • 会話文の行頭に空白はいらない
  • 句読点を最後につけない
  • 会話文が続くときは改行する
  • セリフと地の文は改行しない?
  • セリフの中で改行しない
  • 同じキャラのセリフが連続する場合

カギカッコで囲む

小説のセリフは基本的に「」(カギカッコ)を使って表現します。

たとえば、以下のような形ですね。

「今日はいい天気だね」と太郎は言った。

かっこにはいろんな種類がありますがセリフや会話文ではかぎかっこを使うのが基本です。

また、セリフの中で別のセリフを表現するときは『』(二重カギカッコ)を使います。

「彼が『大丈夫だよ』って言ってたよ」と花子は笑った。

カギカッコの使い方は基本的なルールなのでしっかり押さえておきましょう。

会話文の行頭に空白はいらない

小説では、段落の書き出しや改行後の1文字目は字下げして空白をつけるというルールがあります。

しかしかぎかっこで始まるセリフの行頭では字下げする必要はありません

空白をつけずに1文字目からカッコで初めてください。

句読点を最後につけない

文章の終わりには句点(。)をつけると作文で習いましたよね。しかし小説のセリフの最後に句読点は不要です。

  • 「田中はノートを開いた」
  • 「田中はノートを開いた。」

昔の小説だとセリフの最後に句点がついている作品もありますが、現在ではつけないのが一般的なルールです。

会話文が続くときは改行する

セリフの後に違う人物のセリフが続く場合など、会話文で連続しているときは改行して段落を変えます。

  • 「お昼ご飯どうする?食堂は混んでるかな」
    「たぶん混んでるかも。駅前にできた新しいカフェに行こうよ」
  • 「今度の文化祭なにやるか決まった?」「うん、結局カフェに決まったよ」

改行せずに書くと、セリフの切れ目が分かりづらくなり読者が読みにくいと感じる原因になります。

特別な意図がない限りは改行するのが無難です。

セリフと地の文は改行しない?

セリフの後に地の文が続く場合は、改行するべきでしょうか?

セリフと地の文のつなげ方には明確に守るべきルールは存在しません。そのため書き手の好みで改行するかしないかを選んでいいと思います。

一般的にはセリフの後は改行を入れて読みやすくすることが多いかもしれません。

「君って本当にいつも真面目だよね」
美幸は窓際の席で外を眺めながらつぶやいた。

ただ会話文の後に地の文を続ける書き方は出版されている小説でも多く見られます。

「今年の夏休みはどこか遠くに行きたいな」と美咲は地図を広げながら楽しそうに言った。

セリフの後に長い地の文が入るときは改行したほうが読みやすいかもしれません。

セリフの中で改行しない

一つのセリフの中で改行は基本的にしません。

  • 「最近、将来のことを考えると不安になるんだ。でも君と話していると不思議と心が軽くなる気がする」
  • 「最近、将来のことを考えると不安になるんだ。
    でも、君と話していると不思議と心が軽くなる気がする」

どんなに長いセリフになっても通常は改行せずに、そのまま続けて書きます。

ただ、Web小説ではスマホで読まれることを前提にしているので長いセリフを改行することがあります

読者層や環境に合わせて読みやすさを優先するのはありです。

ただし公募の文学新人賞などに応募する場合は、一般的なルールにのっとり改行しないほうが良いでしょう。

同じキャラのセリフが連続する場合

セリフの中では基本的に改行しないとお伝えしました。

では一人のキャラが長いセリフを話す場合どのように表現すればよいのでしょうか?

まず、カギカッコをつけてセリフを連続してしまうと別の人物の発言だと思われてしまうのでNGです。

  • 「これは、とても大事な話なんだ」
    「だから、ちゃんと聞いてほしい」

改善方法の1つ目は「改行せずに句読点でつなぐ」こと。

もう1つは、仕草や動作を地の文で挟んで同じキャラが続けて話していることを描写する。

「昨日からずっと考えてたんだけど」健太は真剣な表情で話し始め、ペンをくるくると回しながら続けた。

「やっぱりこの計画は一度見直した方がいいかも」彼はふと手を止めると、椅子にもたれかかり不安げに僕に向かって言った。

「何か抜けている気がしてならないんだ」

このように書けば1人の人物が話し続けていることを伝えながら仕草や動作を描写できてシーンに動きが生まれます。

小説のセリフを書くポイント

ここからは小説のセリフをより魅力的に書くためのコツを解説します。

3人以上の会話文の書き分けや説明ゼリフを避けるための表現方法を、例文を使って紹介します。

  • 複数人の会話を書き分ける
  • 割り込みセリフの表現方法
  • 地の文で感情を補足する
  • 行動を一緒に書くとリアル
  • 会話は話し言葉で自然に
  • 台詞回しや掛け合いのコツ
  • 不自然な説明セリフを避ける

複数人の会話を書き分ける

登場人物が増えると「誰が話しているのかわからなくなる」という問題が出てきます。

そんなときは以下の方法を試してみてください。

  • 一人ひとりの口調を変える
  • セリフの前後に動作を入れる
  • 「〇〇が言った」と説明を入れる

登場人物が複数いる場面では、適度に名前や動作を入れることが大切です。

たとえば次のような感じです。

「今日の課題終わった?」と陽子は教室の後ろから声をかけた。

「まだだよ。あのレポート結構難しかったよね」と隣の席の健がため息をつきながら答える。

「もう終わらせたよ」と誇らしげに言ったのは前の席の美咲だ。彼女は振り返りざまに紙をひらひらと見せた。

健は驚いて「本当に?どうやってそんなに早く?」と目を丸くした。

「ちょっとしたコツがあるんだ」と美咲は小さな声で微笑んだ。「後で教えてあげるよ」と続けてウインクをした。

こうすれば誰が話しているのか自然に伝わります。ただ少し地の文がくどく感じるかもしれません。

そこで地の文を多用せずに口調や言い回しで書き分けてみましょう。

「みんな聞いて!新しいクレープ屋さんができたんだって」と由香が言った。

「また食べ物の話かよ。お前それしか興味ないのか」健は興味なさそうに返す。

「食べることは素晴らしいことですわ。私も気になります」と麻衣は由香に微笑みを向けた。

「駅前に出いたお店、今度みんなで行かない?」

「嫌だよ。また金使わせる気か」

「まあまあ、健くんもたまには付き合ってあげたら?私もご馳走しますわ」

最初だけ誰のセリフか地の文で伝え、後は口調や言い回しで誰が喋っているのかわかるようにします。

このように書けばテンポを保ったまま複数人の会話文を書き分けることが可能です。

割り込みセリフの表現方法

会話の途中で別のキャラクターが割り込むことがあります。

誰かが喋っているときに、別のキャラクターが会話を遮って話し始める「割り込みセリフ」。

不自然にならないように表現するには「――」(ダッシュ)を使ったり、地の文で補足を入れてみましょう

「だから、私は――」
「ちょっと待って! それって本当なの?」
田中が大きな声で私の言葉を遮った。

ダッシュや三点リーダーは偶数個使うという文章のルールがあります。絶対的なルールではありませんが多くの小説家が守っているものです。

偶数であれば2個以上でも問題ありませんが、2個が読みやすく無難です。

地の文で感情を補足する

セリフだけで感情を伝えようとすると説明セリフっぽくなりがちです。

そんなときは、地の文を使って仕草や動作を書くことで感情が伝わるようにしましょう。

「ごめん」彼は目を伏せた。
「いいよ」彼女は微笑んだが、その声は少し震えていた。

特に、感情が複雑なシーンでは、表情や動作を入れると効果的です。

行動を一緒に書くとリアル

リアルな会話では、話しながら何かをしていることが多いですよね。

小説でも、地の文でキャラの動きを交えることでシーンに臨場感を持たせることができます。

「お前本当に行くのか?」彼はコーヒーをかき混ぜながら言った。
「もちろん」私はカバンを肩にかける。

すべてのセリフの後に行動を入れるとテンポが悪くなってしまいます。シーンに動きをつけたいときや節目にキャラの行動を入れることで会話にリアリティが生まれます。

会話は話し言葉で自然に

文章には「話し言葉」と「書き言葉」があります。それぞれ口語体や文語体ともいわれます。

文字通り、話し言葉は会話をするときに使う言葉のことで、書き言葉は文章を書くときに使われる言葉です。

普段友達と喋っているときと文章を書くときでは言葉遣いが違いますよね。

たとえば、高校生が「どうしてだい?」なんて言葉遣いしませんよね。「なんで?」のようにシンプルな言い回しをするはずです。

小説の地の文では、書き言葉が使われますが会話文では話し言葉を使ったほうが自然です。

書き言葉

次回の試験に向けて新しい参考書を購入しました。これを使って勉強を進めようと思っています。

話し言葉

今度の試験のために新しい参考書買ったんだ。これで勉強しようと思う。

ただし、あまりにもくだけていると日本語としての文法がおかしくなっていたり「えー」や「あ、そうだ」のように不要な言葉まで入ってしまいます。

適度に読みやすく自然な言葉遣いで書きましょう。

台詞回しや掛け合いのコツ

台詞回しや会話の掛け合いを自然に進めるには「キャッチボール」を意識することが大切です。

相手のセリフを受けて、それに対する反応を考えながら書くとスムーズなやりとりになります。

「今日は暑いね」
「ほんと。こんな日は冷たいアイスが食べたくなるよ」

相手のセリフに対して、暑さへの共感から生まれる自然な反応をしています。

また、単なる情報のやり取りではなくそれぞれのキャラクターの感情を織り込みます。

「また遅刻? いい加減にしてよ」
「ごめん。でも今日は本当に電車が止まっちゃって」

連想ゲームのように掛け合いが展開していくとテンポがよく楽しい会話になります。

情報を伝えるためではなく相手のセリフから連想して話題を広げたり、どんな感情になるかを意識すると台詞回しがうまくなりますよ。

不自然な説明セリフを避ける

小説を書いていると読者に設定を伝えるために、登場人物に説明をさせてしまうことがあります。

たとえばこんなセリフです。

「そういえば太郎、去年の春に東京からこの町に引っ越してきて、今は商店街の本屋でアルバイトをしているらしいよ」

読者に伝えたい情報が詰まっていますが、実際の会話ではこんな話し方はしませんよね。

情報を伝えたいときは会話の流れを崩さないように自然に書きましょう

「太郎はもうすっかり地元民だよな」
「そうだな。東京から来た時は不安そうだったのに、今じゃ商店街の本屋の顔になっているもんな」
「もう1年経つからね」

こうすれば、読者に「主人公が都会から引っ越してきたこと」や「本屋で働いていること」を違和感なく伝えられます。

小説のセリフの書き方:まとめ

今回は小説のセリフの書き方や会話文のルールを解説しました。

  • セリフはカギカッコで囲み行頭に空白はいらない
  • 会話の文末に句読点は不要
  • 地の文を改行するかは書き手の好み

セリフはキャラクターの個性を表したり、設定を伝えるために有効活用できます。

複数人の書き分けや説明ゼリフを避ける書き方を身につければ、テンポが良い台詞回しもできるようになります。

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この記事を書いた人

「物書きラボ」は、小説の書き方を初心者にもわかりやすく解説するサイトです。既存のノウハウだけではなく私が実践し試行錯誤を重ねた情報をお届けしています。

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