「起承転結」とは、小説や文章を4つのパートに分けて構成する方法です。
基本的な物語の型として小説だけではなく漫画や映画、伝統芸能などさまざまな場面で使われています。
作者と読者どちらにもメリットがある構成法なので使い方を知ればよりわかりやすく、魅力的な物語を作ることができますよ。
この記事では「起承転結」の基本構成や書き方、さらにジャンル別の具体例までわかりやすく解説します。
- 小説の起承転結とは?構成や意味をわかりやすく解説
- 起承転結それぞれの書き方と例文
- ジャンル別の具体例
小説の起承転結の意味とは?構成や意味をわかりやすく解説
「起承転結(きしょうてんけつ)」とは、物語や文章を4つの段階で構成する方法です。
小説や漫画などストーリーがある創作物では基本的な構成パターンとしてよく使われています。
最初に「起」で話を始めて、「承」で展開を進め、「転」で意外な出来事を起こし、「結」でまとめるという流れをとります。
これにより、話がわかりやすく読者を惹きつけることができます。この構成法は古くから日本で多くの場面で使われてきました。
いつから使われている?
起承転結のもとは中国の漢詩からきています。
詩の中で、4つの段階を使って場面を描写したり感情を表現したりする技法として使われていました。
特に、618年~907年頃の唐の時代に起承転結が盛んに使われたとされています。
その後、日本でもこの起承転結の構成法が取り入れられ、今では物語の構成やエッセイなど、さまざまな文章で使われています。
小説を作る作者にとっても読者にとってもわかりやすい基本的な型として親しまれている方法です。
起承転結の構成と特徴
起承転結は、「起」で物語のはじめや状況の説明を行い、「承」でその展開を深めていきます。
そして「転」では意外な出来事や変化を起こし、最後の「結」でまとめるという4段階に分かれています。
- 起:物語の始まり
- 承:物語が展開していく
- 転:意外な出来事が起きる
- 結:話をまとめる
ミステリー小説の例で言うと、「起」で主人公が事件に遭遇し「承」でその事件を解決しようと努力します。「転」で予想外の展開があり最後に「結」で事件が解決して話が終わります。
このように、起承転結は物語の流れをスムーズにして読み手にわかりやすく伝える役割を持っています。
4コマ漫画がわかりやすい例
起承転結は小説だけではなく漫画でも基本的な型として使われています。
起承転結を理解するためにわかりやすい例が「4コマ漫画」です。
4コマという短い枠の中で、それぞれのコマが起承転結の役割を担っています。
最初のコマで人物や状況を示し、2コマ目で少し進んだ状況になる。3コマ目で変化が起こりオチにつながる伏線を貼る。そして最後のコマでギャグ的なオチや心が動く結論を示す。
起承転結の流れを勉強したい方は、4コマ漫画を読んで分析するとわかりやすいと思います。
割合や配分
起承転結は4つのパートに分かれていますが、それぞれを綺麗に4等分すれば面白くなるかといえばそうではありません。
むしろ4等分すると物語の展開が遅くなったりストーリーのテンポが悪くなり面白くない小説になってしまうので注意が必要です。
一般的な小説における起承転結の配分は以下の通り。
- 起:全体の20%
- 承:全体の40%
- 転:全体の30%
- 結:全体の10%
基本的には「起」と「結」を短めにすると物語にメリハリがつきます。
「起」では登場人物や舞台の紹介がされますが、ダラダラと説明が長くなると読者は退屈で読み進めるのをやめてしまうかもしれません。
「結」が長すぎると余韻が生まれずせっかく良い終わり方をしても読後感が悪くなってしまいます。
ただし、起承転結の割合は絶対的な法則ではなく目安でしかありません。
重要なのは読者を興味を持続させながら結末まで読み進めてもらうことです。
機械的な配分に当てはめたり、厳密な数値にこだわりすぎず物語の自然な流れを最優先しましょう。
起承転結は必要ない?
「起承転結」は小説において基本的な物語の構成として使われてきました。
しかし現代の小説ではこの伝統的な構造から離れより柔軟で実験的な物語展開が増えています。
あくまでも基本的な型でしかありません。起承転結にとらわれるあまり、ベタな展開になって自由な創作ができない可能性もあります。
構成に慣れてきたら、起承転結を意識せずに創作してみることをおすすめします。
小説の起承転結それぞれの書き方と例文
「起承転結」は小説の物語を4つの段階に分けて展開する方法です。
ここでは、それぞれの段階がどんな役割を持っているか具体例をあげながら書き方を説明します。
起の書き方
「起」は物語の始まりです。
ここでは登場人物や物語の舞台、最初の出来事などを紹介し物語の導入部分を作ります。
物語のテーマや、これから何が起こるかを暗示して読者が興味を持つきっかけを作る段階です。
起の具体例
ある日の朝、主人公の少年が町で大きな噂を耳にします。それは、隣町に不思議な森があり、夜になると光る花が咲くというものでした。
少年はその話に心を引かれ、冒険に出る決心をします。
承の書き方
「承」は物語の展開を進める部分です。
「起」で紹介した状況を受けて物語の舞台が動き出します。登場人物が行動を始めたり、事件が起こったりと物語が進展していく大切な段階です。
この段階で読者が物語に引き込まれるようにします。起承転結の中で最も分量が多い部分なので読者が飽きないように書くことが重要です。
「転」に向けて伏線を張る場所でもあります。
承の具体例
少年は友人と一緒に不思議な森に向かうことにしました。森の奥深くに進むにつれて、不思議な動物や珍しい植物を見つけ、冒険はどんどん楽しくなっていきました。
しかし、森の中で道に迷ってしまい、夜になっても帰れません。
転の書き方
「転」は物語に大きな変化やサプライズを起こす部分です。ここで物語が思わぬ方向に進んだり、新しい事実が明らかになったりします。
読者に驚きを与えることで物語に引き込む効果があります。この「転」で盛り上がりを作るのがポイントです。
小説を読んだあとに最も印象に残る部分なので、物語を書き始める前にしっかり考えておく必要があります。
転の具体例
夜になると森の奥に本当に光る花が現れました。しかし、その花を守る古代の精霊が現れ、少年たちに試練を与えると言い出します。
驚きと不安を感じながらも少年は試練を受ける決意をします。
結の書き方
「結」は物語をまとめる結末部分です。
起承転で起こった出来事を整理して、物語をしっかり終わらせる段階です。ここで、登場人物の成長や物語の意味が明らかになります。
小説の始まりの場面から比べて主人公が成長していたり状況が変化していることを描いて読者に伝えます。
読者に満足感を与え物語を印象深く終わらせることが大事です。
結の具体例
少年は試練を乗り越え、精霊に認められて無事に森を出ることができました。彼は冒険の中で勇気と友情の大切さを学び、家に帰った後もその経験を忘れませんでした。
彼の心には、あの夜の光る花の輝きがいつまでも残っていました。
このように「起承転結」を使うと、物語の展開がわかりやすく、読んでいて楽しくなる構成が出来上がります。
小説の起承転結の具体例をジャンル別に解説
起承転結はさまざまな小説のジャンルで使われていますが、ジャンルによって展開の仕方が少しずつ異なります。
ここではミステリーや恋愛、ファンタジーやホラー小説など、人気ジャンルごとの起承転結の進め方を具体的に紹介します。
それぞれの展開がどう物語を盛り上げるか見ていきましょう。
ミステリー小説の例
ミステリー小説では、謎解きが中心になります。
「起」で事件や謎が提示され、「承」で主人公が調査を進めて手がかりを集めます。
「転」で予想外の事実や新しい証拠が見つかり読者を驚かせます。「結」では犯人がわかり謎がすべて解決される流れです。
- 起:小さな町で宝石が盗まれる事件が発生
- 承:主人公の探偵は証拠を集め捜査を始める
- 転:実は盗まれた宝石は偽物だったことが判明する
- 結:意外な人物が犯人だとわかり事件が解決
恋愛小説の例
恋愛小説では、登場人物たちの感情の変化や成長が物語の中心です。
「起」で主人公が出会い「承」で少しずつ恋が進展していきます。
「転」で誤解やすれ違いが発生し二人の関係が不安定に…。「結」で問題が解決し二人が結ばれるかどうかが描かれます。
- 起:主人公が新しい学校で気になる人に出会う
- 承:友達として少しずつ仲良くなり楽しい時間を過ごす
- 転:誤解が原因で喧嘩をしてしまう
- 結:誤解が解けて二人の絆は深まる
ファンタジー小説の例
ファンタジー小説では、冒険や異世界での出来事が物語の中心です。
「起」で主人公が冒険の旅に出るきっかけが描かれ、「承」で仲間と共に旅を続け困難に立ち向かいます。
「転」では大きな危機や裏切りが訪れ物語がクライマックスに向かいます。「結」で冒険の結末が描かれ主人公が成長して元の場所に帰ることが多いです。
- 起:冒険者が魔王を倒すために旅に出る
- 承:旅の途中で仲間が増え強大なモンスターに立ち向かう
- 転:仲間の一人が裏切り冒険は大きな危機に陥る
- 結:主人公は仲間たちと魔王を倒し平和を取り戻す
ホラー小説の例
ホラー小説では、恐怖や緊張感を高める展開が中心です。
「起」で不気味な出来事が始まり、「承」で次々と怪奇現象が発生して登場人物たちが恐怖を感じ始めます。
「転」では恐怖の正体が明らかになり、さらなる危機が訪れます。「結」で事件が収束するか、あるいは余韻を残して終わることもあります。
- 起:古い館に引っ越した家族が夜に不気味な音を聞く
- 承:次第に怪奇現象が増え家族は怯え始める
- 転:過去に館で悲惨な事件が起こり、その霊が今もさまよっていることが判明
- 結:最後に家族が館を脱出し事件は幕を閉じるが、霊の姿が窓辺にうつる…。
まとめ
小説の基本的な型である「起承転結」とはなにか、意味や構成方法を解説しました。
起承転結は物語をわかりやすく読者に伝えることができます。
必ずこの型を使わなければいけないわけではありませんが、初心者はとりあえず起承転結を使っておけば小説の形を外れることはないでしょう。
これから物語を考えるときや、文章を書くときには今回解説した構成法を意識してみてください。