小説の中で笑い声をどう描くべきか悩んだことはありませんか?
「アハハ」や「フフッ」のように擬音で書くと、少し稚拙な印象もありますよね。
そこでこの記事では、小説における笑い声の上手な書き方のコツを7つ解説します。
表現技法の活用方法やセリフでの工夫、表情や動作を加えた描写方法、さらには笑い方の表現を身につけるにはどうすればいいかお伝えします。
小説における笑い声の書き方7選!文字で表現する方法
小説を書いているときに笑い声をどんなふうに表現すればいいのか悩むことがありますよね?
ここでは笑い声をどのように描写するか、書き方のコツを7つわかりやすく説明します。
- 比喩表現を使う
- 表情や体の動きを描く
- 状況に合わせる
- ジャンルに合わせる
- 心情の変化を取り入れる
- セリフに笑い声や擬音を入れるのはあり?
- 読者の想像力を活かす
比喩表現を使う
当たり前の話ですが、小説は文字だけで表現しなければいけません。
そのため笑い声をただ「彼は笑った」と書くだけでは、その場面の雰囲気や感情が十分に伝わらないことがあります。
だからこそ、具体的なイメージが伝わるように比喩表現を使って書くのがおすすめです。
たとえば「彼女は大きな声で笑った」という文章で人物の明るい性格を伝えたい場合は以下のように書きます。
彼女は太陽のように明るい声で笑い、周囲を幸せな空気で包んだ。
笑い声が持つイメージが鮮明になりますね。読者の頭にも登場人物の満面の笑みが浮かんでいると思います。
比喩を使うと雰囲気がぐっと伝わりやすくなりますよ。
- 「彼の笑い声は鐘が響くようだった」明るく心地よいイメージ
- 「彼女の笑いは低く唸るようだった」陰湿なイメージ
読者に「どんな笑い声なのか」を自然と想像させる描写が重要になります。
表現技法を使うことで、笑い声そのものが場面を引き立てる重要な要素になりますよ。
表情や体の動きを描く
笑い声は登場人物の表情や体の動きを一緒に描くと、より伝わりやすくなります。
たとえば「彼は目を細め、肩を震わせて笑った」と書けば、控えめな笑いの印象を伝えられます。
逆に「彼女は顔をくしゃくしゃにして笑い転げた」と書けば、豪快で楽しい笑い方を思い浮かべることができます。
現実で床を転がりながら笑う人はなかなかいませんが、小説のような文字で表現するフィクションでは、読者がイメージしやすく誇張するのもありでしょう。
顔のパーツや手や足などそれぞれの動きに注目して笑い方の表現を考えてみてください。
- 頬を釣り上げた
- 足をバタバタさせた
- 鼻をひくひくさせた
読者に登場人物が「その場で笑っている」状況をイメージさせるためには、笑い方に動作の描写を組み合わせるのがおすすめです。
状況に合わせる
小説で笑い声を描写するときには、背景や状況に合わせて表現を選ぶことで、シーンに一体感を作ることができます。
具体例
図書館のような静かな場所では「小さくクスクスと笑った」。
賑やかなパーティーの場面では「大声で笑い合った」。
その場の雰囲気に合った自然な描写をすることで、読者がシーンに入り込みやすくなります。
笑い声がその場の空気にどう影響しているのかを描けば物語に奥行きが生まれますよ。
たとえば、あえて図書館で「大声で笑う」キャラを出せば作品の雰囲気やその後の展開にも影響してくるでしょう。
ジャンルに合わせる
小説のジャンルによって、笑い声の描き方も変わってきます。
シリアスなミステリー小説では「ほほ笑んだ」といった控えめな表現が合います。
逆にコメディ作品では「ゲラゲラ笑った」「腹を抱えて笑った」など、明るく楽しい表現がよく使われます。
ジャンルに合わせて笑い声を描くことで物語全体のトーンや雰囲気を壊さずに進めることができます。
読者が期待するスタイルを意識しながら描写を工夫してみてください。
心情の変化を取り入れる
笑い声の描写はキャラクターの感情を伝える手段にもなります。
たとえば「彼は笑っていたが、その目はどこか悲しげだった」と描くと、笑っているけれど実は隠された感情があると読者に伝わりますよね。
笑いが突然涙に変わる場面や、緊張した空気の中で思わず漏れる笑い声など感情の変化を描くのも効果的です。
彼女は静かに笑ったが、その笑いには少しの戸惑いが混じっていた。
上記の例では笑い声がただの音ではなく、心情の表れとして描写するようにすると物語に深みが生まれます。
このように笑い声を通してキャラクターの心情や物語の流れを表現すれば、読者をさらに物語の世界へ引き込むことができますよ。
セリフに笑い声や擬音はあり?
キャラクターのセリフの中に文字で笑い声が表現されている描写はありだと思いますか?
「あっはっは!そんなの無理に決まってるでしょ!」
「ふっ、そう簡単に諦めると思ったか」
セリフの中に擬音で笑い声が書かれていると伝わりやすい一方で、少し表現として幼い印象に感じてしまいます。
ラノベでは見かけることがありますが、一般小説ではあまりセリフの中に書かれていることはありませんよね。
小説の書き方に正解はないので個人の感覚によって考え方は違いますが、笑い声は地の文に入れたほうがいいと思います。
例文
「そんなの無理に決まってるでしょ!」
彼女は大きな声で豪快に笑いながら言い放った。
彼はお腹を抱えて笑い、涙を浮かべながら「やめてくれ、もう無理だ」と声を絞り出した。
笑い声を地の文に入れることで、具体的な状況を描けるので感情が読者に伝わりやすくなります。
笑い声を「ケラケラ」「ワッハッハ」などの擬音で書くと直接伝えられますが、読者層によっては稚拙な印象になりがちです。
擬音については以下の記事で詳しく解説しています。
読者の想像力を活かす
小説を書くうえで読者の想像力を活かすことも忘れないでください。
笑い声をすべて具体的に描写するのではなく、あえて少し曖昧な表現を使うことで、読者が自由にイメージできる余地を作るのです。
たとえば「彼女はただ静かに笑った」とだけ書くと、その笑い声の裏にある意味を読者が想像するきっかけになります。
読者に伝わりやすく丁寧に描写するあまり想像する楽しさを奪ってしまうのはよくありません。
小説における笑い声の書き方!表現を身につける方法
ここからは笑い声の書き方をたくさんインプットする方法を紹介します。
- 好きな作家から学ぶ
- 笑い声を文字起こしする
好きな作家から学ぶ
笑い声を上手に描写する方法を学びたいなら、自分が好きな作家の作品を参考にするのが一番いいでしょう。
特に小説の中でキャラクターの感情や場面描写がうまい作家の表現をよく観察してみましょう。
たとえば、村上春樹や江國香織のような作家は何気ない日常の中に豊かな感情を表現するのが得意です。
「どうしてこの場面の笑い声が印象的なのか」を考えながら読めば、描写のコツがつかめます。
最初は好きな作家の表現を真似することから始めるのもありです。そこから自分のオリジナリティを加えると、より魅力的な文章を書けるようになりますよ。
笑い声を文字起こしする
笑い声の表現方法を身につけるために、実際の笑い声を文字起こししてみると面白いですよ。
家族や友達、テレビで見ている芸能人の笑い方など意識して聞いてみると、「アハハ」とシンプルに笑う人は意外と少ないことに気づきます。
- 明石家さんまの「ファー」という引き笑い
- くりぃむしちゅー上田の「ぶはっ」と吹き出すような笑い
人それぞれ特徴的な笑い方をしています。顔は笑っているけど声はいっさい出していない人など様々です。
周囲の人間の笑い声を文字起こしすることで新たな表現がインプットされるかもしれません。
それを文字でどう表現するかを考えれば小説にも使えるようになります。
小説における笑い声の書き方:まとめ
小説における笑い声の書き方を解説しました。
- 比喩表現でイメージさせる
- 表情や体の動きを描く
- 状況やジャンルに合わせる
- 心情の変化を伝える
- セリフに笑い声は入れないほうがいい
- 読者の想像力を活かす
笑い声は擬音で表現するよりも、地の文で描写するほうが小説としては評価されやすい印象です。
好きな作家の技法を学びつつ自分のスタイルを磨いていきましょう。