ログラインの作り方!皮肉が効いた面白い小説の書き方を実例で解説

小説のログラインの書き方!面白い物語には皮肉がある

ログラインとは、物語の内容を1~2行でまとめた文のことをいいます。

どんなに面白い小説でも、それを一文で語れなければ読者にも編集者にも届きません。

映画のシナリオでは、ログラインを軸に企画が練られるほど重要な要素なんです。

この記事では、面白いログラインの書き方を具体例を交えて解説し、必要な要素も紹介していきます。

目次

ログラインの意味とは?具体例やプロットとの違い

小説のログラインとは何か、まずは基本を解説していきます。

  • ログラインの意味や定義
  • プロットとの違い
  • 有名作品の具体例

ログラインの意味や定義

小説のログラインとは、物語を一文でまとめたもののこと。

たった一文でその小説がどんな話なのか、どんな魅力があるのかを伝えるための重要な要素です。

映画の世界では脚本の第一歩として使われてきましたが、小説でもプロット設計に取り入れられるようになっています。

たとえば『ハリーポッター』のログラインは次のようにまとめられます。

両親を亡くした少年が、魔法学校で仲間と共に自らの宿命と闇の魔法使いに立ち向かう物語。

読む人が一瞬でストーリーの全体像をイメージできて、「読みたい」と思えるように作られています。

小説を書くときは、プロットを書き出す前にログラインを作っておけば「ぶれ」がなくなります

ストーリーが途中で迷子になったとき「結局どんな話にしたいんだっけ?」と立ち戻る軸になります。

また、読者に作品の魅力を伝えるうえでも、編集者に企画を通すときでもログラインがあれば圧倒的に強いです。

プロットとの違い

小説のログラインとプロットは、どちらも物語の内容をまとめるために使われますが目的や使い方が違います。

違いをまとめると次のようになります。

項目ログラインプロット
意味物語の軸を一文で伝える物語全体の展開を設計する
長さ1~3行章やシーン単位で詳細にまとめる
内容主人公・目的・障害など要点のみ重要な出来事の流れと因果関係、サブプロットも含む
目的企画・売り込み・執筆の指針執筆の設計図

ログラインは「物語の幹」だけを抜き出したもの、プロットは「枝葉」まで含めた全体設計図といったイメージです。

  • ログライン:「この物語は何か?」を一文で伝えるための要約
  • プロット:「なぜその出来事が起き、どう展開するのか?」を整理した物語全体の設計図

ちなみに「あらすじ」は物語の全体像を簡潔に説明するもの。ログラインは、あらすじの中でも最も売りになる部分に絞ったものです。

文字数に明確なルールはありませんが、一般的にログラインは60文字以内で一文にまとめるのが理想とされています。

有名作品の具体例

ログラインとはどういったものなのか、実際に有名作品のログライン集を見ていきましょう。

  • 『ハリー・ポッターと賢者の石』J.K.ローリング
    • 両親を亡くした少年が、魔法学校で仲間と共に自らの宿命と闇の魔法使いに立ち向かう
  • 『ノルウェイの森』村上春樹
    • 大学生の青年が、過去の喪失と現在の恋愛の間で揺れながら、自分の心と向き合っていく
  • 『吾輩は猫である』夏目漱石
    • 名もなき猫が、人間たちの奇妙で滑稽な日常を冷静かつユーモラスな視点で見つめていく
  • 『1984年』ジョージ・オーウェル
  • 全体主義に支配された監視社会のディストピアで、真実と愛を求める男が体制に抗う
  • 『星の王子さま』サン=テグジュペリ
    • 宇宙を旅する王子と飛行士が出会い、大人になることで失われる純粋な心を取り戻す
  • 『君の名は』新海誠
    • 夢の中で入れ替わった少年と少女が、時空を越えて本当の出会いを果たそうとする
  • 『下町ロケット』池井戸潤
  • 中小企業の社長が、巨大企業との技術バトルに挑みながら夢と誇りをかけてロケット開発に挑む
  • 『赤毛のアン』L.M.モンゴメリ
    • 孤児院からやってきた空想好きな少女が、田舎町でさまざまな人と触れ合いながら成長していく
  • 『火花』又吉直樹
    • 売れない芸人が、破天荒な先輩との友情と芸に悩みながら、人生の意味を模索する

このように、ログラインにすると物語の魅力が一気に見えてきますよね。

面白いログラインの作り方!皮肉が効いた書き方や必要な要素

面白いログラインには共通して含まれる要素があります。

  1. どんな主人公か
  2. 状況
  3. 物語の目的
  4. 困難や障害
  5. 皮肉(ギャップ)

1~4までは基本的なログラインの要素です。

そこに加えて「皮肉(ギャップ)」を含めるとより魅力的なログラインになります。

詳しく解説していきます。

どんな主人公か

ログラインにまず必要なのは「誰がこの物語の主役なのか」ということ。

年齢や性別、職業などまで細かく書く必要はありませんが、読者が人物像をイメージできるくらいの特徴は入れたいところです。

「孤独な高校生」「正義感の強い刑事」など、短くてもキャラが伝わるのが理想です。

状況

物語の主人公がどんな状況にいるのか、設定や世界観についてもログラインに含めるとよいでしょう。

  • 荒廃した未来の地球
  • 階級制度が厳格な貴族社会

物語の目的

次に、その主人公が「何を目指して行動するのか」、物語のゴールになる目的を決めましょう。

主人公の立場と目的は、読者が感情移入するうえで欠かせない情報でログラインのメインになる部分です。

主人公と合わせると以下のようなログラインになります。

  • 平凡な会社員が、夢を諦めた過去を乗り越えようとする
  • 人生の終わりを目前にした女性が、過去の因縁を清算しようとする
  • 無実の罪を着せられた少年が、自らの正義を証明しようとする

困難や障害

主人公と目的だけでは面白いログラインになりません。

物語のゴールまでの道のりを邪魔する「困難や障害」も必要です。ここがドラマが生まれる元になるので重要な要素です。

  • 敵の正体は、未来の自分だった
  • 刑事が真犯人だった
  • 目的のためには、自分の命を犠牲にしなければならない

ここまでは、ログラインを構成する基本的な4つの要素です。

より面白くするために「皮肉」を含めてみましょう。

皮肉を含める

シナリオの書き方を解説した名著『SAVE THE CATの法則』では、ログラインに「皮肉」を含めるというノウハウが紹介されています。

物語の皮肉を簡単に言い換えれば「意外性やギャップ」があるということ。

予想外の出来事や、本来なら起こりそうにない意外な組み合わせのことをいいます。

具体例を見てみましょう。

  • いかつい刑事が、潜入捜査として幼稚園の先生になる(キンダカートン・コップ)
    • 主人公の見た目とのギャップ
  • 寄せ集めの素人陸上部員たちが、箱根駅伝に出場して強豪校に勝つ(風が強く吹いている)
    • 弱い人物が強いものに打ち勝つ
  • 魔王と勇者が協力して、平和な世界を築くために旅をする(まおゆう魔王勇者)
    • 対極にいる人物が一緒に行動する
  • ごく普通の高校生が、人工知能が引き起こした危機から世界を救う(サマーウォーズ)
    • 平凡な人物が世界規模の事件に巻き込まれる

ログラインにギャップがあると、面白そうで読んでみたくなりませんか?

面白い皮肉ログラインを作る方法を詳しく知りたい方はぜひ『SAVE THE CATの法則』を読んでみて下さい。

面白いログラインの作り方!皮肉が効いた小説の書き方:まとめ

今回は小説のログラインの書き方を解説しました。

  • ログラインとは物語を一文でまとめたもの
  • プロットとの違いは要点だけを簡潔に書くこと
  • 人物、状況、目的、困難が基本要素
  • 皮肉(ギャップ)を作ると面白くなる

第一歩は「この物語って、結局なんの話?」という問いに答えること。

書く前の地図として、書いた後の軸として、そして誰かに作品を届けるための言葉として作ってみて下さい。

ログラインが完成したら、プロット作りに進みましょう。

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この記事を書いた人

「物書きラボ」は、小説の書き方を初心者にもわかりやすく解説するサイトです。既存のノウハウだけではなく私が実践し試行錯誤を重ねた情報をお届けしています。記事内の例文は引用符で囲っているもの以外すべて自作したものです。

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