「十津川警部シリーズ」などでおなじみの推理小説家・西村京太郎。
彼が書くトラベルミステリーはドラマ化されている作品も多いので普段小説を読まない人でも知っている日本を代表する小説家と言えるでしょう。
そんな西村京太郎の小説には、一般的な小説と比べてはるかに多くの読点が打たれています。
読点は文章を読みやすくするために使われるものですが、あまりにも多すぎて逆に読みづらく感じてしまいます。
なぜ西村京太郎の小説は読点が多いのか理由や効果を考察しました。
西村京太郎の小説に読点が多い理由はなぜ?文体の効果を考察
西村京太郎の小説を読んだことがある方なら、すぐに気づくと思いますが彼の文章はとにかく読点が多いです。
ほとんど文節ごとに読点を置いているような文体なので、本を開いた瞬間に普通の文章じゃないとわかりますよね。
なぜ西村作品には読点が多いのでしょうか?その理由やメリットを考察してみました。
西村京太郎の小説に句読点が多い理由について、本人が語った記事やインタビューは読んだことがありません。
そのためあくまでも個人的な考察になることをご了承ください。
読点が多い理由
西村京太郎の小説では、読点が非常に多く使われています。その理由の一つは、読者に「意味をわかりやすくするため」だと考えられます。
ミステリー小説という性質上、情報量が多くなりがちな文章を読点を挟むことで意味を区切り、若い読者にも読みやすくするためでしょう。
とはいえ普段から小説を読み慣れている人にとっては、読点が多いことで反対に読みにくくなっている印象があります。
頭の中で音読する派の人には特に読みづらくかんじてしまうでしょう。
緊張感と間が生まれる
西村京太郎の作品では、読点が物語の緊張感を生み出す要素として機能していると思います。
特に、推理小説に欠かせない「間」を作り出す役割が大きいです。
事件の核心に迫る場面や、キャラクター同士の駆け引きにおいて読点を挟むことで一呼吸置くような「間」が生まれます。
また、読点は読者の注意を引きつけるためにも効果的です。
特定のフレーズや目立たせたい言葉を際立たせることで、重要なポイントが自然と目にとまるようになります。
読点を多用することで、西村京太郎作品にしかない独特の緊張感と読みごたえを生んでいます。ミステリー小説としてはプラスに働いているのかもしれませんね。
セリフにも読点が多い
西村京太郎の小説では、地の文だけではなくセリフにも読点が多いんですよね。
セリフは地の文の書き言葉と違って、話し言葉で書かれているので読点がなくても意味を読み間違える心配は少ないと思います。
それでも読点を使っているということは西村京太郎のクセなのかもしれません。
西村京太郎の読点の打ち方はマネしないほうがいい
- マネすると添削される
- 基本的な読点の打ち方
マネすると添削される
小説家志望者の中には、好きな作家の文体に影響を受ける方も多くいるでしょう。
文学賞の選考コメントを読むと。特に村上春樹の文体をマネしている人は多いようです。
もし西村京太郎の読点が多い文体をマネして小説を書いた場合、文章は減点対象になってしまう可能性が高いです。
西村京太郎はミステリー作家の超大御所でプロフェッショナルだから成立しているだけであり、初心者が模倣しても「文章の基礎がなっていない」と添削されるでしょう。
読点が多い文体で書きたい場合は「意図」がなければ、ただ読みにくい小説になるだけなので気をつけてください。
基本的な読点の打ち方
最後に、文章作法において良いとされている読点の打ち方について解説します。
読点を打つべきタイミングは以下の通りです。
- 意味の切れ目
- 長い主語や目的語の後
- 長い目的語の後
- 逆説や条件の後
- 誤読を防ぐ
基本的には文章の中で自然な意味の区切りがあるところに打ちます。
西村京太郎の読点も意味の切れ目に打たれていますが、あまりにも区切りすぎているので読みづらくなっています。
また小説の場合は、情報を伝えるための記事やコラムと違って文章の書き方も自由です。
文章作法として良しとされない書き方でもそれがあなたの文体として評価されることもあります。
まとめ
西村京太郎の句読点が多い文体について考察しました。
句読点は文章を読みやすくするために使うものですが、西村作品ほど読点が多すぎると逆に読みづらくなってしまいます。
しかし文節ごとに区切られることで意味を読み間違えることはなくなります。文章の美しさよりも面白さが優先されるミステリー小説だから許される文体だと思います。
小説家志望者が安易にマネしても文章が下手だと思われるだけなので、やめたほうがいいです。