小説のストーリーを考えるときに、あなたはどのようにして構想を練り上げていますか?
今回は小説を創作するときに使える2つのアプローチ、「トップダウン」と「ボトムアップ」について解説します。
簡単に言えば、全体像を決めてから細部を作り込んでいくか、キャラやシーンなど細部から考えていくかという違いがあります。
どちらが優れているかではなく、自分に向いている方法を見つけ出すことが大切です。
トップダウンとボトムアップをわかりやすく解説したあとに、それぞれのメリットや向いているジャンルを紹介します。
小説創作の型トップダウンとボトムアップの違い
小説を創作するときの2つのアプローチの仕方「トップダウン」と「ボトムアップ」の違いは以下の通りです。
- トップダウン:全体像から細部を考えていく
- ボトムアップ:細かい要素から膨らませていく

パズルをイメージするとわかりやすいかもしれません。
トップダウンは、最初から富士山の絵が描かれたパズルの箱を見て「こういう完成図にしよう」と決めてから、ピースをはめていくイメージです。
ボトムアップは、完成図がなくバラバラのピースだけがあって、それらを組み合わせながら「最終的にどんな絵になるかな」と考えるやり方です。
もっと身近なものを例に説明します。
料理を例にした場合
- トップダウン:カレーを作ると最初に決める
- 「今日の晩ご飯はカレーにしよう」と決めてから具材を何にするか、どんな味付けにするかを考えていく。
- ボトムアップ:具材から何を作るか考える
- 冷蔵庫にある食材を見て「じゃがいもとにんじんがあるから、これを使ってカレーを作ろう」というように、手元にあるものから考えていく。
これを小説を書く時のアプローチに当てはめて考えてみましょう。
トップダウンは「主人公が宇宙船で遭難して、仲間と協力して地球に帰還する物語」など全体の構想を先に決めます。それからキャラクターやシーンなど細かい要素を決めていきます。
ボトムアップは特定のシーンやキャラクターから発想を広げて全体の物語や世界観を作っていきます。
どちらの創作法をどう使い分けるといいのか、メリットや向いているジャンルを解説していきます。
小説をトップダウンで書く具体例やメリット


トップダウン型とは、最初に全体の構想を決めてから細かい要素を考える創作法のことをいいます。
こんなストーリーを作りたいという全体のテーマや、簡単な起承転結を最初に決めてから、キャラクターやシーンを考えていく方法です。
最終的なゴールが最初から見えているためストーリーの方向性を明確にしやすいのが特徴です。
具体例
トップダウンで小説を作るときはまず「どんなテーマの物語にしたいか」を決めます。
たとえば、「友情をテーマにした青春ストーリーを書こう」と決めたら、冒頭から結末までのざっくりしたストーリーを考えます。
「最後は主人公と友達が和解して、一緒に困難を乗り越える結末にしよう」というように、ゴールを先に設定する場合も多いです。
そのゴールに向かって、登場人物や重要なシーンを具体的に作っていくのがトップダウンのやり方です。
映画やドラマの制作でもトップダウンがよく使われます。
「最後に主人公が困難を乗り越えて成功するストーリーを作ろう」と決めてから、途中の出来事やキャラクターの設定を組み立てていく流れです。
メリットとデメリット
トップダウンで小説を書く一番のメリットは、物語全体の方向性がはっきりすることです。
「こういうストーリーにしたい」というゴールを決めてから細かい部分を作るので、途中で迷いにくくスムーズに進められます。
結末までのあらすじが決まっていると軸が定まっているので、登場人物やシーンを考えるのも比較的簡単ですよね。
さらにテーマや結末が明確なので読者に一貫したメッセージを伝えやすいです。



トップダウンにはデメリットもあります。
全体の構想を先に作ってしまうので、途中で新しいアイデアを盛り込むのが難しい場合があります。
ストーリーを決めてから具体的なパーツを作っていくので柔軟な変更がしづらくなったり、
また発想力があればいいのですが、最初に設定したテーマによってはベタな展開やキャラクターしか作れなくなってしまうこともあります。
予定調和にならないように物語を作っていかないと読者が楽しめない小説になる可能性もあります。
トップダウンが向いてるジャンル
トップダウン型の創作法は物語をしっかり作り込みたいときにぴったりな方法です。
特に推理小説や冒険ファンタジーなど、物語の展開が重要な作品に向いています。ストーリー全体がしっかりしていることで最後まで読む人が迷わずに楽しめるのです。
たとえば、推理小説では犯人やトリックが最初から決まっていると、話の流れに合わせて徐々に伏線を張ったり、意外な展開を盛り込んだりしやすいですよね。
また、ファンタジー小説など長編で世界観が複雑な物語もトップダウンなら設定を整理しやすくなります。
小説をボトムアップで書く具体例やメリット


ボトムアップ型とは、小さなシーンやキャラクターなどの「細かい要素」から物語全体を作り上げていく創作法のことをいいます。
キャラクターやワンシーンなど物語を構成するバラバラのピースだけがあり、それを組み立てていくイメージです。
具体例
ボトムアップでは、「最初に書きたいシーン」や「気になるキャラクター」から創作します。
- 雨の中で傘を差しながら泣いている女の子のシーン
- おっちょこちょいな探偵
- 天候を操る魔法の書
そのシーンやキャラクターから、「なぜ女の子は泣いているのか?」「探偵はどんな事件を解決するのか?」と発展させて物語を作ります。
さらに登場人物について設定を細かく考えていきます。たとえば、性格や好きなこと、過去の経験などをじっくり決めていくんです。
そこからキャラクターが「こんな行動をするだろうな」とイメージしながら物語を動かしていくため、キャラクターの個性が強く反映されやすくなります。
ボトムアップはキャラクターなど小さな要素が最初にあり、ストーリーやあらすじなど全体像を考えていく創作法です。
メリットとデメリット
ボトムアップのメリットは最初から物語全体の構造を考えなくてもよいので、自由にアイデアを広げられることです。
キャラクターから作る場合は、登場人物がとても生き生きとした存在になります。
また、ボトムアップ型ではキャラクターの癖や、印象的なワンシーンといった要素を繋ぎ合わせる過程で自然にオリジナリティが生まれます。
たとえば「いつもボソボソと呟く主人公」や「薄暗い路地裏にある奇妙な骨董品店」といった断片的なイメージから物語を考えようとします。
大枠が決まっていないので人によって発想する物語が全く違ってきますよね。
こういう物語にしなければいけないという縛りが少ないため想像力を広げやすくなるんです。



ボトムアップにもデメリットはあります。
ボトムアップは物語の進む方向がはっきり決まっていないため、途中でどう続けるか迷ってしまうこともあります。
話の流れをどうやって結末に向けるかが難しいところで、終盤で話がまとまらなくなる場合もあるかもしれません。
また、細かいシーンやアイデアをつなぎ合わせるときに矛盾が出やすいのも難しいところです。
ストーリー全体のまとまりを考えながら進めるのが苦手な人には、途中で行き詰まるリスクがあります。
ボトムアップが向いてるジャンル
ボトムアップ型の創作法はキャラクターを重視したいときにぴったりな方法です。
恋愛小説や日常を描く物語、主人公が成長していくストーリーに向いています。
また、冒険をするような話でも、旅の途中で出会ったキャラクターとのやりとりや出来事が物語を左右するので、ボトムアップが効果的です。
キャラクターが生き生きとした個性を持っている作品を作りたいときには、ぜひボトムアップで小説を書いてみてください。
小説創作法トップダウンとボトムアップ:まとめ
小説を書く時の2つのアプローチ「トップダウン」と「ボトムアップ」について解説しました。
- トップダウンは「全体から細部へ」
- ボトムアップは「細部から全体へ」
トップダウンは全体像を見ながら計画的に物語を作りたい人に向いています。一方で、ボトムアップは自由にひらめきを活かしたい人にピッタリです。
どちらの方法にもメリットとデメリットがありますが、どちらが良いかは自分次第。ぜひ両方を試して、自分に合った方法を見つけてみてください。