【小説】記号の書き方一覧!三点リーダやダッシュ・かぎ括弧の使い方

【小説】記号の書き方一覧!三点リーダやダッシュ・かぎ括弧の使い方

小説の文章には基本的なルールが存在します。

基本的な書き方を守ることは読者の読みやすさにつながります。新人文学賞に応募する原稿でも余計な減点をされずにすみます。

今回は小説における記号の書き方に絞って解説していきます。

この記事の内容
  • 中点「・」は並列や固有名詞の区切りに使う
  • 三点リーダーやダッシュは2つ重ねる
  • かぎかっこの文末に句点はいらない
  • かぎかっこを重ねるときは『』を使う
  • 疑問符や感嘆符の後は1文字分空白を入れる
目次

【小説】記号の書き方一覧!三点リーダやダッシュ・かぎかっこの使い方

小説における記号の書き方や使い方を解説します。

  1. 中点「・」の使い方
  2. 三点リーダーはなぜ2つ重ねる?
  3. ダッシュ「――」の使い方
  4. かぎかっこの文末に句点はいらない
  5. かぎかっこを重ねるときの使い方
  6. 疑問符や感嘆符の後は1字分空白

中点「・」の使い方

文章で使われる「・」は中点(なかてん)、あるいは中黒(なかぐろ)と呼ばれます。基本的な使い方を解説します。

中点の基本的な用途は次の3つ。

  • 並列関係を示す
    • 例:「父・母・兄」
    • 複数のものを同格に並べるときに使う
  • 固有名詞の区切り
    • 例:「コーヒー・ブレイク」「トム・クルーズ」
    • 外来語や建物や人名を中点で区切る
  • 漢数字で年月日を省略
    • 例:「二・二六事件」
    • 算用数字では「5.2キログラム」と小数点を使う方が一般的

人名や固有名詞を区切る

外国人の名前はファーストネーム・ミドルネーム・ラストネームを区切る記号として使われます。

英語表記で半角スペースが使われているところに中点が入るイメージです。

また、日本人の名前でも読み仮名を区切るときに使われることがあります。

例:東野圭吾(ひがしの・けいご)

並列関係

同じ性質や関係にある言葉を列挙するときに使用します。

「父・母・兄」の例では、すべて家族関係を表す語であり、同等の立場で並列されています。

漢数字で年月日を省略

漢数字の表記でも中点が使用されるケースがあります。

  • 平成三・三・十一(平成3年3月11日)
  • 二・二六事件(昭和11年2月26日)

年月日を「・」に置き換えて表記されます。

中点の誤用として多いのは、文章中に「・」を乱用すること。

特に会話文内で「えーっと・それは・そのー…」のように入れると、不自然で読者が混乱します。

感情の間を表現したいなら三点リーダー「…」を使う方が適切です。

中点は説明的な箇所にだけ使いましょう。情感を出したい場面では避け、流れを止めないことが大切です。

三点リーダーはなぜ2つ重ねる?

「…」と3つの点がつながった記号を三点リーダー(または三点リーダ)といいます。

この三点リーダーは偶数個、基本的に2個重ねて使うのが出版業界のルールになっています。

例:明日は雨かもしれません……天気予報では曇りでしたが……。

なぜ三点リーダーは1つではなく2つ重ねて使うのか調査しましたが、理由は出版業界の慣例なんだとか。

明確な理由はないようですが、書籍では2個重ねが標準として採用されており、読者にとっても馴染みのある表記となっています。

三点リーダーは、沈黙や間、余韻や不安感などを表すときに使います。

  • 実は昨日、あの人に……いや、やっぱり何でもない。
  • 彼の返事はまだ来ない……もう3日も経つのに。
  • 手術は3時間続いた……長い時間だった。

三点リーダーは「さんてん」と入力して変換すると出てきます。中点「・」を連続して打つのは間違いです。

ダッシュ「――」の使い方

「――」はダッシュ(またはダーシ)と呼ばれ、会話や地の文で強調や唐突な中断を表現するときに使われます。

三点リーダーと同じように2個重ねて使います。

  • 会話の中断
    • 「でも、それは――」「もう十分です」と彼女は言った。
  • 時の流れ
    • 子供の頃の記憶――あれからもう二十年も経つ。
  • 緊張感の演出
    • 電話が鳴った――真夜中の不吉な知らせを予感させる音だった。

「―」は「だっしゅ」と打って変換すると出てきます。

ダッシュと三点リーダーの違いは次のようなイメージです。

  • ダッシュ「――」:明確な断絶や強調
  • 三点リーダー「……」:余韻や曖昧さ

かぎかっこの文末に句点はいらない

地の文の文末には句点「。」を使いますが、かぎかっこの中の文末に句点は不要です。

  • 「俺がやる。お前は下がってろ」

文中に句読点は入れるのはOKです。

昔の小説ではかぎかっこの最後に句点が入っている作品もありますが、現代の小説では入れないのが一般的です。

かぎかっこを重ねるときの使い方

セリフの中でかぎかっこを重ねて使いたいときに、同じ記号を重ねると読みにくくなってしまいます。

この場合は、外側は「」内側は『』を使います。

「昨日、先生が『もっと頑張れ』って言ってたよ。」

3つ以上のかぎかっこは読者が混乱してしまうので、2段階までが原則です。それ以上は文章の工夫で回避を心がけましょう。

疑問符や感嘆符の後は1字分空白

疑問符(?)や感嘆符(!)の後に文章が続く場合は、1字分の空白(全角スペース)を入れます。

  • 「お帰りなさい! 今日はどうだった?」
    息子は重いため息をついた。なぜこんなに疲れているのだろう? 学校で何かあったのだろうか?
  • 「お帰りなさい!今日はどうだった?」
    息子は重いため息をついた。なぜこんなに疲れているのだろう?学校で何かあったのだろうか?

セリフだけではなく地の文でも疑問符や感嘆符の後に文章が続く場合は、空白を入れます。

ただし、疑問符や感嘆符で文章が終わる場合は、空白を入れず句点も不要です。

【小説】記号の書き方:まとめ

  • 中点「・」は並列や固有名詞の区切りに使う
  • 三点リーダーやダッシュは2つ重ねる
  • かぎかっこの文末に句点はいらない
  • かぎかっこを重ねるときは『』を使う
  • 疑問符や感嘆符の後は1文字分空白を入れる

記号は便利なツールですが、多用すると文章が散漫になります。

特に「……」「――」「!」など感情的な記号を連発すると、読者は疲れてしまうのです。

記号はスパイスであり、メインディッシュではありません。使いすぎないことで、かえって存在感が増します。

感情の最大値を引き出すための引き算の美学を意識しましょう。

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この記事を書いた人

「物書きラボ」は、小説の書き方を初心者にもわかりやすく解説するサイトです。既存のノウハウだけではなく私が実践し試行錯誤を重ねた情報をお届けしています。記事内の例文は引用符で囲っているもの以外すべて自作したものです。

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