ご都合主義の何が悪い?特徴5選とご都合展開を避ける小説の書き方

ご都合主義の何が悪い?特徴5選とご都合展開を避ける小説の書き方

ご都合主義とは、作者に都合よく物語が進むストーリー展開のことをいいます。

たとえば、突然新しいキャラクターが現れて問題を解決したり、伏線もなく奇跡的な出来事が続いて主人公が助かるような展開がよくありますよね。

こうした状況が多いと、読者は「そんなの都合良すぎる」と感じてしまいます。

この記事ではご都合主義の特徴と、ご都合展開を避ける小説の書き方、そもそも何が悪いのか解説します。

この記事の内容
  • ご都合主義の特徴5選!小説ストーリー展開でありがちなこと
  • ご都合展開を避ける小説の書き方
  • ご都合主義は何が悪い?合理性と面白さのバランス
目次

ご都合主義の特徴5選!小説ストーリー展開でありがちなこと

ご都合主義のある小説には、いくつか共通する特徴があります。それぞれの特徴をわかりやすく説明しますね。

  • 突然の新能力やキャラクター
  • 矛盾した設定や後付け展開
  • 主人公補正による都合の良い結果
  • 偶然や奇跡が連発する
  • 不自然な心理や行動の描写

①突然の新能力やキャラクター

ご都合主義といえば、物語の途中で急に新しい能力やキャラクターが登場するのがよくある例です。

たとえば、主人公がピンチになったとき「実は隠された力があった!」という展開が急に起きることがあります。

また、これまで登場していなかったキャラクターが突然現れて「実はずっと影で助けていました」と言って、すべてを解決してしまうこともあります。

こういう場面があると、読者は「急すぎる」と感じて物語から離れてしまいます。

能力や新キャラがいたことがわかるような伏線やヒントがしっかり出されていれば、むしろプラスの評価につながる可能性はあります。

三雲ハル

話に自然さを出すためには最初から少しずつヒントを出しておくことが大切です。

②矛盾した設定や後付け展開

ご都合主義の特徴には、物語のルールや設定が途中で変わることもあります。

たとえば、ファンタジー小説で「魔法はとても難しくて限られた人しか使えない」とされていたのに、話が進むと誰でも簡単に使えるようになってしまう、というもの。

また、過去にあった出来事について後から新しい情報が追加されて、それが物語を無理やり動かしてしまうこともあります。

こうした展開があると設定が矛盾しているように感じられ、読者が物語に違和感を持つ原因になります。

三雲ハル

作者が小説を書き始める前に設定を詰めていなかった場合に起こりやすいご都合主義です。

③主人公補正による都合の良い結果

ご都合主義の代表例として「主人公補正」があります。主人公補正とは、主人公だけが都合よく助かったり成功したりすることをいいます。

普通なら危険な場面で、なぜか主人公だけが助かるということが何度も続くと、「話がご都合主義すぎる」と思われてしまいます。

さらに、主人公がピンチのたびに偶然誰かが助けに来たり、新しい武器やアイテムが見つかったりするのも、主人公補正の例です。

このような展開は、物語を簡単に進めるために使われがちですが読者に違和感を与えてしまいます。

三雲ハル

ピンチは読者に共感してもらったりキャラクターを魅力的に見せる絶好の機会です。
解決方法をしっかり考えておきましょう。

④偶然や奇跡が連発する

ご都合主義では、偶然や奇跡が続くことも特徴の一つです。

たとえば、主人公が偶然その場に必要な道具を見つけたり、ピンチのときにタイミング良く味方が現れたりすることがあります。

1回や2回なら気にならなくても、これが何度も続くと「できすぎた話だな」と感じられることがあります。

三雲ハル

偶然に頼りすぎないように、キャラクター自身が工夫して問題を解決する場面を描くことが大切です。

⑤不自然な心理や行動の描写

キャラクターの心理や行動が不自然に感じられるのも、ご都合主義の特徴です。

たとえば、これまでずっと同じ考えを持っていたキャラクターが、なんの前触れもなく突然意見を変えて物語を進める展開などがあります。

こうした描写があると「このキャラクターの行動は本当に自然なの?」と感じられてしまい、物語のリアリティが失われます。

三雲ハル

キャラクターが行動を変える理由や動機は、共感してもらうために重要な部分なので丁寧に描きましょう。

ここまでご都合主義の小説によくある特徴を5つ解説しました。

ではご都合主義を避けるためにはどうすればいいのか改善方法を次の見出しで解説します。

ご都合主義な展開を避けるための小説の書き方

小説を書くときに、「ご都合主義」を避けることはとても大切です。

話が不自然に進むと、読者が物語に入り込めなくなることがあるからです。ここではご都合主義を防ぐための工夫について解説します。

設定の一貫性を守る

ご都合主義のストーリー展開にならないために一番大事なのは、設定の一貫性をきちんと守ることです。

世界のルールやキャラクターの能力は、最初に決めたものを物語全体で変えないようにするのが大切です。

たとえば、主人公が突然新しい能力を使えるようになると、読者は「なんで?」と冷めてしまいます。

でも、物語の中で最初からその能力について少しずつヒントを出しておけば自然な展開に感じられます。

一貫した設定は、読者にとって安心して楽しめる物語を作る鍵になるのです。

キャラクターの成長と動機を描く

キャラクターの動機や成長を読者に見せることでご都合主義を避けることができます。

登場人物がどうしてその行動をするのか、理由をちゃんと考えることも重要です。

突然勇気を出したり、急に優しくなったりする場面があるときは、理由を説明できるようなエピソードを物語の中に入れておくといいですね。

さらに、キャラクターが成長していく様子を丁寧に描くことで読者はその行動に共感できます。

たとえば、主人公が失敗や苦労を乗り越えた経験があるとその後の挑戦に説得力が出てきます。

行動の動機と成長の過程を描くことでご都合主義のストーリーにならずにすみますよ。

事前のリサーチと計画

小説を書くときには、書こうとしているテーマについて詳しく調べることが必要です。

事前に調べておかないと書きながら「この設定でいいのかな」と迷いが生じてご都合主義な展開に陥ってしまいがちです。

歴史を舞台にした話なら、その時代の文化や出来事について知ることで話にリアリティが生まれます。

三雲ハル

さらに、物語全体の流れを計画するのも大切です。

あらかじめプロットを作っておくと、伏線を入れるタイミングや展開をスムーズに考えることができます。

この準備をすることで、ご都合主義的な展開を防ぐことができますよ。

フィードバックをもらう

自分だけで物語を書いているとご都合主義展開になっていても「これで大丈夫」と思い込んでしまうことがあります。

でも、他の人に読んでもらうと思いがけない意見をもらえることがあります。「この展開はちょっと不自然かも」と言われたら、その部分を修正するチャンスになります。

友だちや同じように小説を書いている仲間などに読んでもらうとより詳しいアドバイスをもらえることもあります。

フィードバックを活用することで、作品の完成度をさらに高めることができますよ。

ご都合主義を逆手に取る演出

ご都合主義を完全になくすだけが正解ではありません。小説のジャンルによっては、あえてご都合主義展開を利用して物語を面白くする方法もあります。

たとえば、ギャグ作品では、「こんな偶然ありえない!」という展開が笑いにつながることがあります。

また、キャラクター自身が「これ、都合良すぎじゃない?」とツッコミを入れる場面を作ることで、意図的にご都合主義を使っていることを読者に伝えることもできます。

こうした演出をうまく使うと、読者を引き込む魅力的な作品にすることができるのです。

三雲ハル

メタ的な作り方なので好き嫌いがわかれる小説になりますが、考え方の一つとして知っておきましょう。

ご都合主義の小説は何が悪い?嫌われる理由や面白さとのバランス

ここまで紹介したように「ご都合主義」と聞くと「嫌い」というイメージを持つ人もいるかもしれません。

でも、本当にご都合主義は悪いことばかりなのでしょうか?ここではその理由や逆に活かされた例などをわかりやすく説明しますね。

嫌われる理由

ご都合主義が嫌いと言われる理由は「話が不自然に感じられるから」です。

たとえば、主人公がピンチのときに、何の伏線もなく突然新しい力を使えるようになったり偶然が何度も重なって問題が解決したりすることがあります。

三雲ハル

これだと、読者は「なんでそんな都合良くいくの?」と違和感を覚えてしまいます。

また主人公補正や、矛盾した設定が出てくると物語の合理性が崩れてしまいます。すると、話に入り込むことが難しくなり「適当に作られた話だ」と思われてしまうこともあるんです。

このため、多くの作者がご都合主義を避けるよう努力しています。

ご都合主義展開が活きる場面

すべてのご都合主義が悪いわけではありません。むしろ、ご都合主義をうまく使って人気を得た作品もあります。

たとえば、『ドラゴンボール』や『キン肉マン』のようなバトル漫画では、主人公が奇跡的に勝利するシーンがよくあります。

論理的な伏線がなくても、それぞれの戦いが面白くて盛り上がれば、「熱い!」と読者に支持されているという事実があります。

小説とは違いますが、ジャンルや読者の期待したいではご都合主義がプラスに働くことがあるのです。

合理性と面白さのバランス

ご都合主義を無くして合理的なストーリー展開を作れるのは理想ですがその結果、物語の面白さが失われてしまったら元も子もありません。

合理性ばかりを重視してしまうと、物語が冷たく感じられてしまうこともあります。

一方で、多少合理性を無視してでも読者が感動したりワクワクしたりするような展開を作れば、物語の魅力が大きく増します

つまり、ご都合主義を完全に排除するのではなく、適切に使いこなすことが大切なんです。

三雲ハル

バランスを取ることで、面白さと納得感の両方を感じられる作品を作れるようになりますよ。

まとめ

小説や漫画のご都合主義のストーリー展開について、特徴や対処法を解説しました。

ご都合主義が多いと、物語の合理性が損なわれてしまい読者から「適当すぎて嫌い」と思われてしまい共感してもらえません。

しかし一方で、特にバトル漫画やファンタジー作品では、スリルや感動を重視する場面で多少のご都合主義が許されることもあります。

物語のジャンルや読者の期待によっては、むしろ盛り上がる要素として活用される場合もあるんです。

ストーリーの合理性と、面白さのバランスを意識しながらご都合主義と言われないようにする工夫が大切です。

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この記事を書いた人

「物書きラボ」は、小説の書き方を初心者にもわかりやすく解説するサイトです。既存のノウハウだけではなく私が実践し試行錯誤を重ねた情報をお届けしています。

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