小説のサブプロットとは、メインプロットを補助するためのストーリーのことです。
メインストーリーだけでは伝えきれないキャラクターの成長やテーマの深掘り、主人公以外の人物像を描くために活用できます。
しかし、ただ脇道にそれるだけのエピソードになってしまうと読者の興味を削いでしまうことも……。
今回はサブプロットとは何かという基本から、小説のジャンル別に何を書けばいいのか具体例を解説していきます。
この記事を読めば、サブプロットを使って物語をより魅力的に仕上げるコツがつかめますよ。
小説のサブプロットとは何か?役割やメインプロットとの違い
小説のサブプロットとは何か、役割やメインプロットとの違いを解説していきます。
- サブプロットとは?
- どんな役割や効果があるのか
- メインプロットとの違い
サブプロットとは?
小説や映画には、物語の中心となる「メインストーリー(メインプロット)」があり、それに加えて補助的なストーリーが存在することがあります。
この補助的なストーリーのことをサブプロットといいます。

たとえば主人公が悪の組織と戦うメインストーリーがあるとします。
このとき「仲間の裏切り」や「主人公の家族の秘密」などのエピソードが描かれると物語に深みが生まれますよね。これらがサブプロットにあたります。
サブプロットは、メインストーリーだけでは描ききれない登場人物の心の変化や、人間関係の深まりを表現するために使われます。
つまりサブプロットは、書かなくてもメインストーリーの進行自体には影響しないけど「読者が感情移入したり世界観をリアルに感じ取るために必要なもの」ということ。
どんな役割や効果があるのか
小説のサブプロットには具体的にどんな役割があるのでしょうか?
よく描かれる代表的な3つを紹介します。
キャラクターの成長を描く
メインストーリーでは主人公が目的を達成することが優先されがちですが、サブプロットを使えばその過程での成長をより丁寧に描くことができます。
たとえば、最初は臆病だったキャラクターが、仲間との経験を通じて勇敢になっていくサブプロットがあると、読者はより感情移入しやすくなります。
身体的な成長と精神的な成長を分けて描けます。
物語にリアリティを持たせる
実際の人生では一つの出来事だけが進行することは少なく、いくつもの問題や出来事が同時に起こりますよね。
物語でもメインストーリーの裏で別の出来事が進んでいると、よりリアルに感じられます。
たとえば、冒険ものの小説で「旅の途中で仲間同士の意見が対立し一時的に別行動を取る」という展開があると、展開にも幅をもたせられます。
小説では主人公を中心に描くことになりますが、その他のキャラクターもリアルに生きていることをサブプロットで描くと良いでしょう。
伏線を張る
サブプロットを使えば、読者が「この話、あとでどう関わってくるんだろう?」とワクワクするような伏線を仕込むことができます。
序盤では何気ない会話に思えたサブプロットが、終盤で物語の核心に関わる展開になると「ここで繋がるのか!」と印象に残るストーリーになります。
「えっ、まさかこのキャラが物語のカギを握っていたなんて!」と驚かせることもできますよ。
メインプロットとの違い
サブプロットは、あくまでもメインプロットを引き立てるためのものです。
たとえば、メインストーリーでラスボスと戦う場面。
サブプロットで描かれていた仲間の成長が決定的な力となり、勝利に貢献するといった展開があると感動してより魅力的な展開になります。



裏を返せば、メインストーリーに関わってこないサブプロットは作る意味がほとんどないとも言えます。
サブプロットをメインプロットとしっかり絡ませるために以下の点を意識しましょう。
- メインストーリーとリンクする
- サブプロットもしっかり完結させる
- サブプロットが強すぎると逆効果
サブプロットは、最終的にメインストーリーと交わる形にするのが理想です。
「主人公は平和のために戦い、ライバルは復讐のために戦う」という二つのサブプロットがあるとします。
この二人が最後に戦うことになれば、物語にドラマ性が生まれますよね。
また、メインストーリーが終わったときサブプロットもきちんと完結していることが大切です。
途中で放置されたサブプロットがあると、読者は「結局あの話はどうなったの?」と消化不良を感じてしまいます。
すべてのエピソードが最後にすっきりとまとまるように意識しましょう。
たとえば、戦闘がメインの物語なのに、サブプロットの恋愛要素が強すぎて戦闘のシーンが減ってしまうと、本来のテーマがブレてしまいます。
あくまでも「メインプロットを支えるもの」という意識を持つことが大切です。
サブプロットの作り方をジャンル別に例を解説!何を書けばいい?
小説のジャンルによって、サブプロットの役割や効果的な使い方は大きく変わってきます。
ここからはジャンル別に何を書けばいいのか具体的な例を解説していきます。
- ミステリー小説は謎と動機を掘り下げる
- 恋愛物語は人間関係を描く
- ファンタジー・SFは世界観を深める
ミステリー小説は謎と動機を掘り下げる
ミステリー小説のサブプロットでは、以下のポイントを意識しましょう。
- 読者の目をそらす
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犯人や真相から読者の注意をそらすためにミスリードになる要素をサブプロットに用意します。
例えば、探偵の恋愛模様や個人的な問題に読者を引き込むことで本筋の手がかりを見逃させるようなテクニックです。
- 伏線を仕込む
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一見関係ないように見えるサブプロットに、実は重要な手がかりが隠されているというパターン。
登場人物の日常生活を描いているようで、その中に事件解決の鍵が巧妙に隠しておくと自然に伏線を貼れます。
- キャラクターの動機を掘り下げる
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登場人物の過去や内面を掘り下げて行動の動機を掘り下げます。動機がしっかりしていれば物語に説得力が生まれます。
ミステリー小説では伏線を用意したり、人間ドラマを深めるためのサブプロットを作りましょう。
恋愛物語は人間関係を描く
恋愛物語では、主人公とヒロインの恋愛がメインプロットになります。サブプロットでは人間関係を描くのがおすすめです。
- 友情や家族関係を描く
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主人公の友人や家族との関係を描くことで、キャラクターが立体的になり共感しやすくなります。
たとえば、漫画『きみに届け』では主人公・爽子と風早の恋愛がメインですが、クラスメイトとの友情をサブプロット見せて爽子の成長を描いています。
- 夢に向かって成長する
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恋愛だけではなく、主人公が夢や目標に向かって成長する物語を描くと深みが出ます。
高校生の恋愛物語なら、進路に悩むシーンが当然あるはずです。恋愛模様だけを描くとリアリティーがなくなってしまいます。
- ライバル関係
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主人公とヒロインの関係に割って入るような第三者の存在を描くことで、関係の変化や緊張感を伝えましょう。
ライバルはメインにも絡んできますが、サブプロットではライバルの人柄や性格を深堀りすると「ただの邪魔者」ではない存在として読者に共感してもらえます。
恋愛物語のサブプロットでは、様々な人間関係を描いてキャラクターの魅力や欠点を引き出しましょう。
ファンタジー・SFは世界観を深める
ファンタジーやSF小説は、壮大な冒険や世界の危機がメインプロットになることが多いです。
サブプロットは世界観を深めるために使いましょう。
- 世界設定を掘り下げる
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歴史や文化、魔法のシステムなど物語の世界観を説明するためのサブプロット。
映画『ロード・オブ・ザ・リング』の原作小説『指輪物語』では、各種族の歴史や関係性を描くサブプロットがリアリティーと奥行きを生み出しています。
- キャラの個人的な成長
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壮大な冒険の中で登場人物それぞれの内面の葛藤や成長を描くことで、読者が感情移入しやすくなります。
- 社会問題を描く
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架空世界の権力闘争や社会問題を描くサブプロットです。
『ゲーム・オブ・スローンズ』では、複数の家の権力闘争が絡み合うサブプロットを作ることで世界観にリアリティーが生まれています。
ファンタジーやSF小説は、世界観を読者に理解してもらうことが大切です。しかしメインプロットの中で長々と説明してしまうと読者は飽きてしまいます。
そこでサブプロットを上手く使って、自然な流れで世界観を説明すると理解しやすくなります。
小説のサブプロットの作り方:まとめ
今回は小説のサブプロットとは何か、作り方をジャンル別に解説しました。
- サブプロットとは補助的な物語のこと
- キャラの成長を描いたり、世界観を深める役割がある
- メインプロットに関わる形にする
サブプロットをうまく活用すると、メインストーリーだけでは描ききれないキャラクターの成長やテーマの掘り下げができます。
しかしメインと関連性がなかったり、途中で放置されたりすると読者にもやもやが残ってしまいます。
今回紹介したジャンルごとの例を参考にして効果的なサブプロットを書いてみてください。