青春小説とは若者たちが葛藤しながら成長していく姿を描いたジャンルです。
友情や恋愛、自己発見など中高生や大学生ならではの体験をネタに表現されます。
今回は青春小説や学園もの小説の書き方を解説します。
- 定義や特徴を解説
- 学園もの小説やジュブナイルとの違い
- 書くときに意識するべき5つのコツ
青春小説とは?定義や特徴・学園ものやジュブナイルとの違い
青春小説とはどんなジャンルなのでしょうか?
まずは定義や特徴、学園もの小説やジュブナイルとの違いを解説します。
- 定義や特徴は?
- 学園もの小説やジュブナイルとの違い
- 恋愛や友情を通じて成長を描く
定義や特徴は?
青春小説とは若者の「挫折や葛藤」「変化や成長」を描いた物語です。
主人公は10代から20代前半の若者が多く、学校生活や家庭、地域社会を舞台にしていることが特徴です。
「大人の青春」なんて言葉も世間にはあるようですが、小説においては中高生や大学生など若者が主人公のものが青春小説と定義されています。
10代というのは精神的にも身体的にも変化が激しい時期なので、恋愛や友情を通して成長や葛藤が描かれることが多いです。
- 子供から大人への成長
- 変化することへの葛藤
- 大人になることへの不安
青春時代は読者にとって身近なテーマなので誰もが共感しやすいというメリットがあります。
現役の学生なら、今まさに抱えている葛藤を重ねて共感できます。大人は自分が過ごした青春時代を思い起こしながら共感や憧れを感じるのです。

大人になると「学生だったあの頃に戻りたい」「青春をやり直したい」という気持ちがなんとなく出てきます。
自分が経験できなかった青春を体験したり自分を投影しやすいので、幅広い年齢層から支持されているジャンルです。
学園もの小説やジュブナイルとの違い
青春小説と学園ものやジュブナイルの違いを比較した表を作成しました。
項目 | 青春小説 | 学園もの | ジュブナイル |
---|---|---|---|
主人公 | 10代後半~20代前半 | 小中高生~大学生 | 子ども~10代 |
主な舞台 | 限定しない | 学校 | 限定しない |
テーマ | 恋愛や友情、進路や家族との葛藤、自己実現など | 学校生活や部活、友情や恋愛など | 成長、冒険、友情、自己発見など |
特徴 | 誰もが経験する普遍的なテーマが多い | 学校という閉鎖的な空間での人間関係を描く | 子どもから大人への成長過程を描く |
青春小説とは、若者を主人公に恋愛や友情などいわゆる思春期特有の体験を描いた物語です。
学園もの小説は名前の通り学校を舞台に描かれる物語。
10代の中高生は日常生活のほとんどを学校で過ごすので、自然と学校や学園生活を中心に描かれることになりますが、青春小説の場合は舞台を限定されていません。
そのため家庭の話を中心にしたり、夏休みに田舎で過ごした日々を描くこともあります。
ジュブナイルとは「少年期」を意味する言葉で、ティーンエイジャー向けの小説とされています。
一般的には少年少女が冒険する若年層向けの作品がジュブナイルと呼ばれています。
別ジャンルというより、青春小説という大きな枠組みの中に学園ものとジュブナイルが含まれていると考えるほうがわかりやすいと思います。
恋愛や友情を通じて成長を描く
青春小説で欠かせないテーマの一つが、恋愛や友情です。
思春期の感情は大人と比べて成熟していません。そのため自分でも理解できない複雑な感情や葛藤に満ちています。
成長段階にある10代が恋愛や友情を通して成長や自己発見していくのです。



感情の些細な動きを描くことが読者の心を動かす鍵になります。
単なるロマンチックな場面や仲良しシーンを描くというわけではありません。
内面的な葛藤や嫉妬、誤解など不安定な人間関係を描きながら、それらの体験を通じてキャラクターがどう変わるかを描いていきます。
青春小説や学園もの小説の書き方5つのコツ
青春小説を面白く書くには、いくつかのポイントを押さえることが大切です。ここでは5つのコツを紹介します。
- テーマを明確にする
- 思春期ならではの葛藤を描く
- 独自性のあるネタを考える
- 対比になるキャラを作る
- 学園イベントでストーリーを盛り上げる
テーマを明確にする
青春小説を書くときに一番大事なのはテーマをはっきりさせることです。
テーマとは、「物語を通して伝えたいこと」や「主人公の成長の軸」となる部分です。テーマを決めることで物語に一貫性が出ます。
- 夢を追う苦悩と葛藤
- 進路と将来への不安
- 友情や絆
- 初恋や片思い
- 親との意見の相違
ただ広いテーマではなく「仲間と協力して困難を乗り越える」や「失恋を通じて自分を見つめ直す」など、具体的にするとより深みが出ますよ。
「友情も恋愛も大人との対立も描きたい」といろんな要素を入れると一貫性がなくなってしまうので、軸を一つ決めておきましょう。
思春期ならではの葛藤を描く
中学生や高校生は楽しいことが多い反面、葛藤や悩みも多い時期です。
将来への不安や未熟さからくる人間関係の悩みなど思春期ならではの葛藤があります。
青春小説だからこそ描ける若さゆえの葛藤をリアルに描くことで読者の共感を得ることができます。
何かしら目標や壁を設定すると書きやすくなりますよ。壁は敵と言い換えてもいいかもしれません。
- 部活でレギュラーを勝ち取りたい
- 好きな人に告白したいけど振られるかもしれないという不安
- クラスメイトがイジメられているけど何もできない葛藤
小説はキャラクターが何かを通じて変化したり成長したりする過程を描くものです。
成長に必要な要素である目標や壁を設定して、悩みや喜びを感じながら大人になっていく様を描いていきます。
青春時代は楽しいことだけではなく挫折や痛みなどネガティブな要素もたくさん経験する時期です。
そういった負の側面は共感されやすい要素なので具体的に書いていくと良いでしょう。
独自性のあるネタを考える
青春小説は、誰もが経験したことがある普遍的なテーマを描くことが多いためありがちな設定やストーリーになりやすいです。
中高生のあるあるネタを詰め込んだような小説では、新鮮味がなくて楽しめません。
冒険小説のようにわかりやすい敵がいたり、ミステリー小説のように真相を紐解きたくなる謎がないので、日常を描いているだけでは引き込まれるような小説にするのは難しいです。
そのため読者が最後まで読み進めたくなるような魅力をどう作るかが重要になります。



オリジナリティやフックになる要素を考えます。
たとえば、SFやミステリーなど他ジャンルの要素を合わせてみるのも一つの手段です。
タイムリープや超能力などの要素を盛り込むことで、エンターテイメント性を高めつつ青春時代の葛藤や成長を描くことができます。
キャラクターや舞台に一工夫加えるのもいいでしょう。
- 廃部寸前の天文部を舞台に、星を通して内気な少年少女たちが成長していく
- ラジオ番組制作に打ち込む高校生たちが、ラジオを通して人々の想いに触れていく
- 学校一の秀才だが、実は心に闇を抱えている少年
考え方次第で、新しいストーリー展開の青春小説は作れます。
アイデア発想法については以下の記事で解説しています。


対比になるキャラを作る
主人公と対比になるキャラクターを作ると、登場人物の個性や成長を描きやすくなります。
- 内向的な主人公と社交的な友人
- 先生やバイト先の店長など大人
主人公と正反対の性格をもつキャラクターを登場させるのは漫画でもよくある定番の設定ですよね。
正反対のキャラクターを作ることで、同じ出来事へのリアクションの違いや人間関係の変化を描き、成長を見せやすくなります。



恋愛要素があるなら、恋敵になる相手を作れば盛り上がりますよ。
また、10代の若者がメインの物語では大人の存在が重要です。
自分の親や学校の先生、バイト先の店員など未成年には必ず大人のサポートがあります。
未成熟な子供と大人を対比させることで中高生たちの悩みを表現しやすくなります。
良い大人はアドバイスをくれますが、嫌な大人は邪魔をしてくるかもしれません。
ジュブナイル小説では子供たちだけで冒険に出かけるストーリーもありますが、学校を舞台にした作品で大人が出てこないのは不自然なので気をつけましょう。
学園イベントでストーリーを盛り上げる
学校生活には文化祭や体育祭、部活動の試合などたくさんのイベントがありますよね。
こうしたイベントは、学園もの小説の物語を盛り上げる絶好のチャンスです。
- 文化祭の演劇を通じてキャラクター同士がぶつかり合いながらも仲を深めていく
- 運動会でライバルと競い合うシーン
- 修学旅行でトラブルを起こす
学園のイベントごとは、キャラクターの性格が出やすく対立やドラマが起きやすい場面です。
当日だけではなく準備中に起きるトラブルや、思わぬハプニングを盛り込むと、物語がもっとドラマチックになります。
学園イベントをただの背景にするのではなく、ストーリーの重要な転換点として活用しましょう。
青春小説や学園もの小説の書き方:まとめ
青春小説や学園もの小説の書き方を解説しました。
- 青春小説とは若者の「挫折や葛藤」「変化や成長」を描くジャンル
- 学園ものやジュブナイルも同じジャンルに含まれている
- 友情や恋愛をテーマに描かれることが多い
- テーマを絞って思春期ならではの葛藤を描く
- 学園イベントは物語を盛り上げる鍵になる要素
青春小説や学園もの小説の魅力は、主人公や登場人物の感情や成長を通じて、読者が自分の経験や気持ちを重ね合わせられるところにあります。
この記事で紹介したポイントを押さえれば、あなたの物語にリアリティと深みが生まれるはずです。